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贈与税の新たな申告書などが公表
●  相続時精算課税制度の選択を踏まえ改訂・新設
  先月10日、贈与税に関する新たな申告書および必要添付書類が公表された。これは、平成15年度の税制改正で創設された「相続時精算課税制度」の選択・申告を踏まえた内容に改訂・新設されている。相続時精算課税制度を選択する際は、贈与税の申告書に添付しなければならない「相続時精算課税選択届出書」や今回改訂された贈与税申告書など、一度、内容を確認しておく必要があるだろう。
●  平成15年1月1日より適用可能、制度の選択は贈与者個別に
  「相続時精算課税制度」とは、親子間の贈与について、財産の早期移転による生前贈与の円滑化を図るために、平成15年度の税制改正で創設された制度である。所定の要件を満たせば、贈与の段階では贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限なく、累積で2,500万円まで非課税となる。平成15年1月1日以後の贈与から適用が可能となっており、この制度の選択を行う場合は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、所轄税務署に対して「相続時精算課税選択届出書」「相続時精算課税に係る財産を贈与した旨の確認書」などの必要書類を贈与税の申告書に添付して提出しなければならない。
  この制度の選択は贈与者である父・母ごとにできるため、贈与者(父または母)ごとに届け出が必要になる。例えば、父からの贈与については相続時精算課税制度の適用を選択し、母からの贈与については選択をしなかった場合は、父からの贈与については、父が死ぬまで相続時精算課税制度が適用され、母からの贈与については選択しない限り、従来の暦年課税で贈与税額を計算するという2本立てとなる。ただし、この制度は、一度選択すると従来の暦年課税には再び戻れないので、選択する際には非常に注意を要する。
  ほかの国には存在せず、本当に利用して得なのかどうか判断がつきにくい制度だが、この制度を適用するための届け出が今年、いよいよ開始される。制度創設の初年に一体どれだけの届け出があるのか、大きな関心が寄せられるところである。
  また、「相続時精算課税選択届出書」などのようの、新規に作成されたもののほか、贈与税の申告書自体も従来の暦年課税分と相続時精算課税分の両方を記載できるように全面改訂されている。相続時精算課税制度の利用価値はさておき、当面、話題となりそうなテーマではあるので、この制度を適用するための書式の内容をぜひ一度確認しておきたい。
平成15年分については、平成16年2月2日(月)から3月15日(月)まで
【主な改訂・新設内容】
●贈与税の申告書 第一表<全面改訂>
従来の暦年課税分と相続時精算課税分の合計を記入
●贈与税の申告書 第二表(相続時精算課税の計算明細書)<新設>
相続時精算課税分の明細を計算
●相続時精算課税選択届出書<新設>
相続時精算課税制度の適用を受ける場合に記入して提出
・主な記載事項
受贈者の住所、電話番号、氏名、生年月日、特定贈与者との続柄、捺印
特定贈与者の住所、氏名、生年月日
・添付書類
「受贈者の戸籍の謄(抄)本又は受贈者の戸籍の附票の写し」
「特定贈与者の住民票の写し又は特定贈与者の戸籍の附票の写し」
「相続時精算課税に係る財産を贈与した旨の確認書」
●相続時精算課税に係る財産を贈与した旨の確認書<新設>
相続時精算課税制度の適用を受ける財産として贈与したことを示す
(注)今回改訂・新設された贈与税の申告書および必要添付書類は、税務署のほか国税庁のホームページでも閲覧・入手することができる。
〔参考〕
 
相続時精算課税
従来の暦年課税
選択
受贈者である兄弟姉妹が別々に贈与者である父・母ごとにできる
制限なし
贈与者
65歳以上の親(贈与の年の1月1日)
年齢制限なし
受贈者
20歳以上の子(贈与の年の1月1日)
年齢制限なし
対象財産
制限なし
制限なし
控除額
2,500万円(累積)
110万円(毎年)
税率
一律20%
10〜50%の6段階
贈与税額の計算
(贈与額累計−2,500万円)×20%
(その年の贈与額−110万円)×贈与税率−速算控除額
贈与財産の相続時加算
相続時精算課税を選択後のもの
相続開始前3年以内のもの
贈与財産加算時の評価額
贈与時の時価
贈与時の時価
課税変更
選択すると従来の暦年課税への変更は不可
相続時精算課税への変更は可
2004.01.13
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