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確定申告の前に医療費控除の範囲をチェック!
●  医療費控除の範囲で国税不服審判所の裁決事例がでる
  国税不服審判所のHP上、「公表裁決事例等の紹介」に平成14年の裁決事例集64がこのほど、追加公表された。
  今回の追加公表の「所得税法関係」の中に注目すべき裁決事例要旨があった。
平成14年11月26日裁決「医療費控除の範囲」
  自然医食品等は薬事法に規定する医薬品に該当しないから、医師の処方により購入しても、その購入費は医療費控除の対象にならないとした事例
(平成12年分所得税の更正処分/棄却)
  「医師の処方せんに従い、薬局で購入した漢方薬の代金は医療費控除の対象となるが、疾病予防や健康増進のためにビタミン剤や漢方薬を購入した代金は医療費控除の対象とならない」とされているが、この裁決では、『「医師の処方により」ということであっても「自然医食品」は、薬事法に規定する医薬品に該当しないことからその購入費は、医療費控除の対象にならない』ということである。
  このように「医療費控除の範囲」となる医療費の対象がわかりにくかったことに対して新たに裁決がでたのである。
  昨年4月より健康保険の被保険者本人負担が3割となったことなどから「医療費控除」が注目され、サラリーマンで確定申告をする人のために、最近の週刊誌などで「確定申告」が特集として取り上げられている。
  平成15年分の確定申告の受付がはじまっているので、自分が確定申告する場合やお客さまへのアドバイスのために「医療費控除」について確認しておくのは重要である。
●  医療費控除
  「医療費控除額」は次の算式による。
医療費控除額=実質支払医療費−{(1)10万円or(2)総所得金額×5%} (1)(2)のどちらか低い金額
  「医療費控除」は、その年にかかった医療費を、総所得金額から所得控除の1つとして控除できる。算式の「実質支払医療費」は、医療控除の対象となる医療費から生命保険の入院給付金などを引いた額である。
補てんに該当するもの
医療費から差し引く
医療費から差し引かない
健康保険
療養費や移送費として現金支給、出産育児一時金、高額療養費など
傷病手当金、出産手当金など
生命保険・傷害保険など
入院給付金、医療保険金、障害保険金
重度障害や就業不能のために支払われた休業補償金、保険金
その他
医療費の補てんとして払われた損害賠償金
会社や知人からの見舞金、祝い金など
●  医療費の対象項目
  医療費控除の対象となる医療費は、次に掲げるもののうち、その病状その他一定の状況に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額である(法73-2、令207)。
  1. 医師または歯科医師による診療費または治療費
  2. 治療または療養に必要な医薬品の購入の費用
  3. 病院、診療所または助産所へ収容されるための費用
  4. マッサージ指圧師、はり師、きゅうまたは柔道整復師による治療を受けるための施術費
  5. 保健師、看護師または准看護師による療養上の世話を受けるための費用
  医療費には、同一生計の家族の医療費も含めるので、共働きの場合などでは、どちらで確定申告をした場合に還付が多くなるか検討した上で確定申告することが大切である。
  医療費控除の対象となる医療費(家族を含む)にはどんなものがあるかということについては紙幅の関係で割愛する。
〔参考〕
弊社の「FP基本知識シリーズ【会社員編】」では、『医療費控除の対象となる医療費』について
1.治療・検査・手術関連〜8.交通費関連まで詳細に掲載。
2004.02.16
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