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派遣労働者数 約213万人に増加
  厚生労働省は、各派遣元事業主から労働者派遣事業報告書(平成14年度分)を提出させ、派遣元事業所(一般労働者派遣事業所6,551事業所、特定労働者派遣事業所8,104事業所)の事業運営状況について取りまとめて集計結果を発表した。派遣労働者数は前年度に比べ21.8%増の約213万人と初めて200万人台に達した。
●  派遣労働者数は、対前年比21.8%増の約213万人に
  集計結果によれば、派遣労働者数*1は、2,129,654人(対前年度比21.8%増)、常用換算派遣労働者数*2は693,418人(対前年度比13.3%増)であった。
  いずれにおいても前年実績より増加しており、時代の流れを考えれば、今後もますます派遣労働者が増加することが予測できる。さらに労働者派遣法の改正で今年の3月より製造業への派遣が解禁されることも増加を後押しすることになるだろう。この法律改正は、日本の労働市場をがらっと変えてしまう可能性があるといっても過言ではないだろう。
●  派遣先件数は、約36万件
  労働者派遣の役務の提供を受けた者(派遣先)の数は、一般労働者派遣事業では33万8,439件(対前年度比5.8%増)、特定労働者派遣事業では2万4,776件(同4.4%減)となっている。この結果、全体としては363,215件(同5.0%増)となっている。派遣先の数を、1派遣元事業所当たりの平均でみると、一般労働者派遣事業では68.3件(前年度83.2件)、特定労働者派遣事業では5.8件(同6.9件)と、いずれも前年度より減少している。これは、新規参入の派遣会社数が大幅に増加したことにより、小規模の派遣事業所が増え平均値が下がったとみるのが自然であろう。
●  売上高は、合計2兆2,472億円
  売上高の結果をみると、一般労働者派遣事業では1兆8,101億円(対前年度比16.0%増)、特定労働者派遣事業では4,371億円(同13.4%増)となっている。この結果、合計は2兆2,472億円(同15.5%増)となっている。1986年の労働者派遣法施行以来まだわずか17年しか経っていないが、法律を制定した当初にここまで労働者派遣の市場が大きくなると予測していただろうか。
  いままで企業は、派遣社員を活用する理由として、「仕事が減ったときに雇用調整が容易だから」と「人件費の抑制につながるから」をあげていた。いうまでもなく製造業においてもこれは同じであろう。
  しかしながら、今回の製造業への派遣の解禁は、不安定な労働者がさらに増加してしまい、将来の社会保障制度という観点からみれば、非常に大きな社会問題にもなりかねないということを忘れてはならない。
*1派遣労働者数
ここでは一般労働者派遣事業における常用雇用労働者数および登録者数並びに特定労働者派遣事業における派遣労働者数の合計とした。「登録者」には、過去1年間に雇用されたことのない者は含まれていない。
*2常用換算派遣労働者数
ここでは一般労働者派遣事業における常用雇用労働者数及び常用雇用以外の労働者(常用換算)数並びに特定労働者派遣事業における派遣労働者数の合計とした。
参考:「労働者派遣事業の平成14年度事業報告の集計結果について」
(社会保険労務士  庄司 英尚)
2004.02.23
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