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「生命保険契約に関する権利の評価」が明文化される
  「生命保険契約に関する権利の評価」については、平成15年度の税制改正で時価により評価されるということになったが、通達などでは明文化されていなかった。そこでこのたび、財産評価基本通達で明文化され、解約返戻金の額で評価することが明らかになった。
●  評価額は解約返戻金の額に
  平成15年の税制改正で、相続開始時にまだ保険事故が発生していない「生命保険契約に関する権利の評価」については、原則として個々の契約にかかわる解約返戻金の額で評価されることになった。正確には生命保険契約に関する権利の法定評価の規定であった旧相続税法第26条が、経過措置が講じられた後廃止され、相続税法第22条の「評価の原則」によることになり、時価で評価されることになったのである。しかし、具体的に「解約返戻金の額」と明文化されているものはなかった。そこでこのたび、財産評価基本通達に明文化されたのである。この通達を読むと、「解約返戻金の額」には解約時に支払われる前納保険料や余剰金の分配額などがある場合にはこれらの金額を加算し、解約返戻金の額について源泉徴収される所得税がある場合にはその金額を減算するとなっている。
●  二つの注釈と経過措置にも注意
  なお、この通達には二つの注釈があり、一つ目の注釈では掛け捨ての保険は対象外になる旨、また二つ目の注釈では、その生命保険契約に契約者貸付金もしくは保険料振替貸付金、または未払込保険料(いずれもその元利合計額)がある場合には、これらの債務は、相続財産の課税価格には加算されない旨明記されている。これで「生命保険契約に関する権利の評価」の取扱いがはっきりしたことになる。ただし、残すところあと2年余りとなったが、旧相続税法第26条の廃止には経過措置があり、平成18年3月31日までの相続または遺贈により保険事故が発生していない生命保険契約を取得した場合には、「解約返戻金の額」と「旧相続税法第26条による評価額」のうち、いずれか有利な方を選べることに注意したい。
[平成18年3月31日までの相続の場合]
生命保険契約に関する権利の評価額=1または2
  1. 解約返戻金の額
  2. 既払込保険料総額×70%−保険金額×2%
    (一時払契約の場合は一時払保険料)
[平成18年4月1日以後の相続の場合]
生命保険契約に関する権利の評価額=解約返戻金の額
(生命保険契約に関する権利の評価)
第8章 その他の財産
第6節 その他の財産
  214 相続開始の時において、まだ保険事故(共済事故を含む。この項において同じ。)が発生していない生命保険契約に関する権利の価額は、相続開始の時において当該契約を解約するとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合にはこれらの金額を加算し、解約返戻金の額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合には当該金額を減算した金額)によって評価する。
(注) 1 本項の「生命保険契約」とは、相続税法第3条((相続又は遺贈により取得したものとみなす場合))第1項第1号に規定する生命保険契約をいい、当該生命保険契約には一定期間内に保険事故が発生しなかった場合において返還金その他これに準ずるものの支払がない生命保険契約は含まれないのであるから留意する。
(注) 2 被相続人が生命保険契約の契約者である場合において、当該生命保険契約の契約者に対する貸付金若しくは保険料の振替貸付けに係る貸付金又は未払込保険料の額(いずれもその元利合計金額とする。)があるときは、当該契約者貸付金等の額について相続税法第13条((債務控除))の適用があるのであるから留意する。
〜財産評価基本通達より〜
2004.03.01
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