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年金の加入記録を事前送付へ
  社会保険庁は、このたび年金受給が近づいた58歳に到達した方に、加入している年金制度やその期間などを記載した「年金加入記録のお知らせ」を送付するサービスを開始した。
  事前に年金加入記録を確認してもらうことにより、年金裁定に要する期間を短縮するとともに、被保険者の将来設計に貢献することを目的としている。希望する人には年金加入記録の確認後、年金見込額を提供するサービスもあるので、対象となる人にはとても満足度の高いサービスとなるだろう。
●  対象者は58歳に到達した人
  対象者は、次のとおりである。
1.昭和21年1月2日以降生まれの58歳到達者で、次のいずれにも該当する者。
(1)
国民年金および厚生年金保険(船員保険を含む。以下同じ)の被保険者または被保険者であった者
(2)
社会保険業務センターで管理している国民年金、厚生年金保険および社会保険業務センターに提供されている共済組合などに係る年金加入記録を基に受給資格(期間要件)の確認を行った結果、老齢基礎年金の受給資格を満たす者
2.なお、社会保険業務センターで、次に挙げる年金加入記録を管理していない期間を含めないと受給資格を満たさない者は、今回の事前通知の対象とはならない。
(1)
昭和61年3月以前の厚生年金保険や共済組合などの年金加入者の配偶者で国民年金に任意加入しなかった期間、または学生や海外在住者で国民年金に任意加入しなかった期間など(いわゆるカラ期間)
(2)
平成8年以前(基礎年金番号導入前)に資格を喪失した共済組合などの加入期間など、各共済組合などから社会保険業務センターに記録が提供されていない期間
●  年金見込額を知ることが可能に
  実際の内容は、次のとおりである。
1.まず、58歳到達月の翌々月に、加入している年金制度やその期間などを記載した「年金加入記録のお知らせ」を社会保険業務センターから本人あてに送付する。
2.「年金加入記録のお知らせ」に記載された加入記録を確認のうえ、年金見込額の提供を希望する者には、老齢基礎年金や老齢厚生年金の額を記載した「年金見込額のお知らせ」を社会保険業務センターから本人あてに送付する。
●  年金は、裁定請求をしないともらえない。
  年金を受けるためには、必ず年金の請求手続き(裁定請求という)が必要なのだが、裁定請求を忘れている人が意外に多い。さまざまなメディアで多くの情報を入手して勉強していても、いざ自分がもらうときになると請求すること自体を忘れてしまうこともあるようだ。また、自分は年金なんてもらえないと思って諦めている人でも加入記録をみると年金をもらえたりするケースも実際にはよくある。年金に関しては、法律の改正が頻繁にあり特例などがたくさんあるので、専門家に聞いてみて初めてわかることも多い。
●  より良いサービスを目指して
  厚生労働省は今後年金の見込額を照会できる下限年齢を50歳へと段階的に引き下げていく予定である。年金制度の信頼回復のためには、国民が求めているサービスを的確にとらえ、早急に提供していかなければならない。厚生労働省は、「より良いサービス」とは何かを再度国民の視点にたって考え、少しでも年金についてのサービスの質を高めていってもらいたいと思う。
参考:「社会保険庁ホームページ」
(社会保険労務士 庄司 英尚)
2004.03.22
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