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妻の収入額別にみた家計の税金・社会保険料等と黒字額*1
  平成16年2月に総務省統計局から発表された「家計調査 家計収支編(二人以上の世帯)平成15年平均」では、世帯主の年齢別、地域別、高齢者のいる世帯など、さまざまな角度から、収入と支出を発表している。
  この中から、夫婦共働きの核家族世帯で、妻の月収が8万円未満と8万円以上の場合、また核家族世帯で妻が働いていない世帯別に、1カ月の税金・社会保険料等と、黒字額*1について比較した。
*1「黒字」とは、税込み収入から、生活費と税金・社会保険料支出の合計を差し引いた金額。主に金融資産純増(預貯金純増・保険純増と有価証券純購入)と借金返済などからなる。
●  妻の月収が8万円以上世帯の、勤め先収入全体に占める割合は34.7%
  収入面をみると、勤め先収入全体に占める妻の収入の割合は、妻の月収が8万円未満の場合11.0%、8万円以上の世帯では約34.7%となる(下図参照)。月収8万円以上の世帯には、フルタイム勤務など、勤務時間の多い人が多数いると考えて良いだろう。
【図表 核家族世帯の家計収支(平成15年1カ月平均、勤労者世帯)】(単位:円)
 
夫婦が共に勤労者の核家族
共働き世帯*2
妻の勤め先収入額別
核家族世帯(世帯主は夫)で
妻が働いていない世帯
1〜79,999円
80,000円〜
実収入(税込み収入)
539,356
712,773
523,311
    うち勤め先収入
522,688
696,920
448,975
    勤め先収入のうち世帯主の配偶者の収入
57,301
241,949
0
    勤め先収入に占める配偶者収入の割合(%)
11.0
34.7
0
消費支出(生活費)
340,251
367,113
336,204
非消費支出(税金、社会保険料等)
80,208
118,718
78,205
    うち直接税
31,798
48,093
30,023
    うち社会保険料
48,307
70,448
48,092
黒字(預貯金・保険・有価証券の増加、借金返済)
118,897
226,942
108,903
    うち預貯金純増
32,693
132,084
37,920
    うち保険純増
34,839
41,296
26,130
出典:「総務省統計局 家計調査 家計収支編(二人以上の世帯)平成15年平均」
*2「夫婦が共に勤労者の核家族共働き世帯」とは、核家族で夫婦が共に働いている世帯(夫婦のみまたは夫婦と未婚の子どもからなり、夫婦の一方が世帯主でその配偶者も働いている世帯で、夫婦以外に有業者がいる世帯を除く)のうち、世帯主が夫で、その妻が勤労者の世帯。
●  月収8万円未満と、専業主婦の世帯では、税金・社会保険料の差はわずか
  支出面ではそれぞれの世帯でどのように違いがあるのだろうか。非消費支出(税金と社会保険料等)を見ると、妻が月収8万円未満で働いている世帯(80,208円)と、妻が働いていない世帯(78,205円)とでは約2,000円の差にとどまっている。通常、妻の月収が8万円未満であれば、税制上の配偶者控除を受けられる。それに年収が130万円以上の場合にかかる厚生年金保険料負担を避けることを考えれば、税金や社会保険料が高くならないよう、就業調整をしている人がいることがここで推測できる。
●  差が出る金融資産純増額と借金返済額
  上の図表より、3つの世帯の間で差が大きいのは、黒字(金融資産純増と借金返済等)項目である。妻の月収8万円以上の世帯の黒字額(226,942円)は、妻が月収8万円未満で働いている世帯(118,897円)の約1.9倍に上る。黒字について詳しく見ると、預貯金純増額の格差が大きくなっている。預貯金純増額は、妻の月収8万円未満の世帯(32,693円)と、月収8万円以上の世帯(132,084円)の間で、9.9万円の格差がついている。
●  妻の就労には、複数の判断基準がある
  妻の収入金額の違いの要因を大まかに言えば、税金や社会保険料負担を気にせず妻が多くの時間働くか(フルタイムなど)、逆に税金や社会保険料負担を考慮して働く時間を短くするか(パートタイムなど)の違いと言い換えることができるだろう。妻が多くの時間働けば、多額の貯蓄を積み立てることが可能になる。妻が収入を抑えながら短い時間働くことを選べば、税金や社会保険料を抑制することができる。また、勤労する時間を決める際には、税金や社会保険料負担、貯蓄の多寡だけでなく、子どもの世話をどうするか、なども判断基準になっているものと考えられる。
参考:総務省統計局「家計調査 家計収支編 平成15年平均」
2004.04.05
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