>  今週のトピックス >  No.802
日本経済、景気回復の兆し
  日本経済の現況を示す経済指標が上向きになってきた。企業のリストラが一段落し、設備投資への意欲が旺盛になっていることに加え、株価の上昇を背景に消費が徐々に回復の兆しを見せている。もっとも、多くの企業がベアを見送るなど所得が大幅に増える見込みは薄い。加えて4月1日からの消費税の総額表示移行で、一時的に消費が冷え込む可能性もあり、景気回復への道のりは一進一退のようだ。
●  企業、消費ともに上昇傾向
  財務省が四半期ごとに実施している「法人企業統計調査」によると、昨年10月〜12月期の全産業の経常利益は前年同期比16.9%増となった。全産業の経常利益が前年同期を上回るのは6期連続。民間設備投資は前期比4.5%と3年ぶりの伸びを示している。企業の業績が回復基調にあることから、連動して株価も上昇。3月下旬に2002年6月以来の約1年9カ月ぶりに1万1,700円台を回復した。多くの企業が決算期末となる3月の株価が堅調に推移しているため、市場では景気拡大や金融安定への期待感が高まっている。
  消費関連の指標も堅調だ。日本百貨店協会の調査では東京都内百貨店の2月の売上高は前年同月比0.3%増と、2001年11月以来実に2年3カ月ぶりにプラスとなった。全国の百貨店売上高も前年同月比2.3%増と4カ月ぶりにプラス。日本チェーンストア協会が調べたスーパー売上高も1.2%増と4カ月ぶりにプラスだった。外食産業の既存店売上高も6年3カ月ぶりに前年を上回るなど、うるう年の効果もあり、小売業が軒並み回復傾向を見せている。
  小売業の売上高が伸びているのは、サラリーマンの使えるお金が増えているためだ。総務省が発表した2月の勤労者世帯の家計調査(速報)によると、一世帯あたりの消費支出は31万4,355円と前年同月比6.9%の増加で、4カ月連続のプラスとなった。伸び率は21年ぶりの高水準となる。実収入は前年同月比4.1%増、可処分所得も6.7%増えた。
【図表 消費支出の対前年同月実質増減率の推移(勤労者世帯)】
【図表 消費支出の対前年同月実質増減率の推移(勤労者世帯)】
●  総額表示など不安要素も
  ただ、消費の回復傾向に水を差すかもしれないのが、4月1日から実施される消費税の総額表示だ。小売店などは値札や店頭表示を消費税込みの総額か本体価格と総額の併記のいずれかに改めなくてはならない。消費者にとって支払う価格は同じだが、例えばこれまで99円と表示されていた商品が104円や104円(本体価格99円)などと表示されることで値上がりした印象を持ち、購入意欲が減退する可能性がある。中国の原材料高やドル安・円高の再加速など不安要素はほかにもあり、景気に対して楽観視はできないようである。
2004.04.05
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