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非製造業の景況感にも明るさ
〜日銀短観3月調査より〜
●  非製造業では7年4カ月ぶりプラスに
  4月1日、日本銀行は、日銀短観(短期企業経済観測調査)*1の3月調査を発表した。
  これによると、最も注目度の高い大企業・製造業の業況判断DI*2は、プラス12(前回調査比+5)と、4期連続の改善となった。一方、大企業・非製造業では、プラス5(前回調査比+5)となり、実に7年4カ月ぶりのプラスとなった。
  今回の日銀短観では、大企業・製造業の改善傾向は予想の範囲内であったものの、前回のピーク時にもマイナス9(2000年9月調査)にすぎず、プラスになることがなかった大企業・非製造業でもプラスに転じたことが注目を集めた。プラス5という水準も、1992年6月調査のプラス8以来の水準となっている。
  こうした結果は、景気回復の裾野の広がりを表すものとして、市場関係者も強い手ごたえを感じている。
●  調査方法見直しの影響も
  もっとも、大企業・非製造業における今回の数値は、今回から日銀が調査対象企業、企業規模区分など調査方法を見直した影響も指摘される。今回調査(3月調査)分については、新旧ベースの比較は不可能であるものの、前回2003年12月調査分が新ベースで遡及(そきゅう)改訂されており、12月調査については新旧両数値の比較が可能である。これによると、大企業・非製造業では、旧ベースのマイナス9が新ベースでは0と9ポイント「かさ上げ」されている。
●  今回の景気回復局面は"3度目の正直"となるのか?
  最近の景気回復局面は、バブル崩壊後3度目とされる。これまでの経緯を振り返ると、過去2回の景気回復時の業況判断DI*2は、バブルピーク時にはるかに及ばない水準でピークアウトしており、極めて弱い景気回復であった。例えば、大企業・製造業の業況判断DI*2をみると、バブル崩壊後もっとも高いときでもプラス13(1997年6月調査)にすぎず、バブル期ピーク時の50を超える水準とは大きな差がある。
  一方、今回の景気回復局面は、バブル崩壊後過去2回の回復局面と異なり、公共投資など政府の積極的な景気対策にけん引されたものでなく、企業などの構造改革が功を奏したものであるとして、バブル崩壊後の「失われた10年」からの脱却を期待する声も聞かれる。
  今回の景気回復局面においては、過去2回の景気回復時の水準を大きく超えて、今後業況判断DIが回復していくのかどうか、その行方が注目される。
【図表 非製造業にみる業況判断DIの推移】
【図表 非製造業にみる業況判断DIの推移】
出典:「日銀短観3月調査結果」
*1日銀短観とは、大企業から中小企業まで、さまざまな業種からなる全国約1万社を対象とするアンケート調査で、サンプル数の多さや速報性などから、景気動向を占う上で注目度が高い。
*2業況判断DIとは、業況が「良い」と回答した企業の割合(%)から、「悪い」と回答した企業の割合(%)を差し引いた数値。
2004.04.12
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