>  今週のトピックス >  No.807
管理職の女性比率は約1割まで上昇
  厚生労働省は、毎年、働く女性に関する動きを取りまとめ、「働く女性の実情」として紹介しているが、この調査分析によると平成15年においては、女性の就業者数は2,597 万人で、平成9年以来6年ぶりに増加(対前年差3万人増、対前年比0.1%増)している。就業者のうち雇用者数も増加し、雇用者総数に占める女性の割合は前年からさらに上昇し、40.8%になった。また管理職に占める女性の割合も年々上昇しており、平成15年には約1割を占める結果となった。
●  結婚、出産による離職者は減少
  今まで女性は就職後、結婚、出産を機に退職し、子育てが一段落した後にパートタイム労働で再就職する者が多かったこともあり、このようなスタイルが一般的だと考えられていた。しかし、このような考え方も時代とともに変化してきており、調査によれば、若い層ほど「子供ができても仕事を続ける方がよい」と答える女性が多かった。
  このような意識をもっている人が増えている中、実態についても調査したところ、結婚や育児や出産を理由として退職する人は、予想通り減少していた。均等法世代が25 〜29 歳であった平成4年と、均等法後10年世代が25 〜29歳層であった平成14年で比較すると、25〜29 歳層の時点で結婚または出産・育児で離職した者の割合は、平成4年がそれぞれ20.2%、16.2%であったのが、平成14年には14.5%、9.3%と大きく減少している。
●  仕事と個人生活の両立が女性管理職特有の悩み
  役職者に占める女性の割合の推移を総務省統計局「労働力調査」および厚生労働省「賃金構造基本統計調査」からみると、管理的職業従事者の割合は年々上昇しており、均等法施行後18 年目になる平成15 年には9.9 %と男女雇用機会均等法前20年世代が就職した昭和41年の4.2 %の2倍以上の値となっており、役職別にもそれぞれのレベルで上昇が見られる。
  悩みをもっている女性管理職も増えているが、その内容は「仕事の量」(19.3 %)や「仕事の質」(17.7 %)が男性同様高くなっている(男性はそれぞれ19.1 %、18.4 %)。一方、「仕事と個人生活の両立」(女性17.1 %、男性7.6 %)および「将来のキャリア昇進・昇格」(女性11.7 %、男性8.2 %)では男女差が大きくなっていることがわかる。
●  課題は育児と仕事の両立
  今年は男女雇用機会均等法が制定されて20年目に当たる。男女雇用機会均等法制定以降の女性雇用をめぐる環境変化は、法制度の整備を含め、制定以前の20年とは比べようがないほど急ピッチで進んだ。均等法世代以降の若い世代の女性に特徴的であるのは、職場における男性との差が縮小し、差別されていると感じる者の割合も低くなっているという均等面での進展の評価と、仕事に対する積極的な意識の高まりである。しかしながら女性にとっては育児と仕事をどのようにして両立させていくかという課題が残っている。女性の感性を生かしたもの作りを行っている企業やスーパーをはじめとするサービス業では、女性を役職者に積極的に活用し、業績を伸ばしているところが多い。仕事のできる女性が出産や育児を理由として退職することのないように、各企業は育児をしながら働く女性を支援するための画期的な制度を導入していかなければならない。
参考:「厚生労働省ホームページ」
(社会保険労務士 庄司 英尚)
2004.04.19
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