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企業規模、性別で格差が大きい賃金
●  男性賃金はやや低下
  厚生労働省は、毎年、主要産業の常用労働者について賃金実態を調査しているが、このほど2003年の調査結果がまとまった。
  まず、一般労働者(パートタイムを除く常用労働者)の賃金は平均で302,100円である。常用労働者の平均像は、勤続期間12.2年、年齢40.3歳である。前年に比べ、賃金額は−0.2%で2年連続の減少となった。男女別では、男性335,500円、女性224,200円である。
  年齢階級別では、男性は45〜49歳、50〜54歳の階級がいずれも411,900円でもっとも高い。一方、女性は35〜39歳がもっとも高い(図表1)。つまり男女を比較すると30代前半までの賃金格差はさほどでもないが、その後大きく差がつくということである。
  なお5年前のこの調査の結果と比較すると、男性は30代、50代を中心に賃金は低下しているが、女性は30代後半以降の年齢階級では、5年前より賃金が高くなっている。女性の勤続年数が次第に長くなってきたことが主因と思われる。
厚生労働省 平成15年賃金構造基本統計調査(全国結果)
【図表1 男女別年齢階級別賃金】
【図表1 男女別年齢階級別賃金】
出典:「厚生労働省 平成15年賃金構造基本統計調査(全国結果)」
●  企業規模格差は拡大
  企業規模別にみると、大企業(従業員1,000名以上)では、男性394,900円、女性252,600円、中企業(従業員100〜999名)では、男性326,200円、女性225,700円となっており、企業規模格差は相変わらず大きく、しかも男性賃金において格差は顕著である。
  大規模企業と中規模企業の企業規模格差を年齢階級別にみると、大規模企業の賃金を100とした場合、男性若年齢階級では20歳代で90台と大きな格差はないものの、30歳代以降は80台となり、年齢が高くなるにつれ賃金格差は拡大している。一方、女性については、30歳代、40歳台前半まで大規模企業との格差は男性に比べて小さい。これも女性の勤続年数が長くなってきたことが主因と思われる。
  企業規模や性別による賃金格差は、相変わらず存在する。企業規模格差はここ10年の景気低迷を経て一層拡大した感さえある。ただし、女性に限っては、勤続年数の伸びなどを主因に男女間格差および企業規模格差は縮小に向かっていることが読み取れる。
【図表2 企業規模による年齢階級別賃金格差】
【図表2 企業規模による年齢階級別賃金格差】
出典:「厚生労働省 平成15年賃金構造基本統計調査(全国結果)」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.05.06
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