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公正取引委員会、有料老人ホームの誇大広告を規制
●  悪質な誇大広告は「指定告示」の対象に
  誇大広告が問題化している有料老人ホームについて、公正取引委員会(公取委)は3月下旬、有料老人ホームの不当表示を景品表示法4条3号に基づく「指定告示」の対象にすることを決めた。老人ホームの増加で業者の競争が激化する中、消費者を惑わす誇大広告が目立つようになっていた。10月1日から施行し、違反業者には厳正に対処していく。
  公取委は1997年以降、有料老人ホームの不当表示を指導してきた。しかし、悪質な表示が絶えず、昨年4月、初めて全国の3施設に法的強制力を持つ排除命令を出した。排除命令を受けた施設は、あたかも全室南向きと思わせるような記述がありながら、南向きではない部屋があったり、「24時間の医療体制」をうたい文句としながら、実際はそうしたシステムが整っていなかったりした。
  公取委は1997年以降、有料老人ホーム約20社に対し不当表示を指摘したが、法的強制力を持つ「排除命令」を出したのはこの3社だけ。ほかは強制力のない「警告」にとどめた。公取委の取り締まりのよりどころは景品表示法だが、同法に基づき告示ではっきりと不当表示の具体例を明示しているのは無果汁清涼飲料、消費者信用の融資費用など5項目だけ。老人ホームに対する告示はこれまでなかった。
  公取委は施設・設備、居室利用、介護サービスなどの分野で計12項目の不当表示例を挙げた。次のような場合は不当表示に該当する。
  • 有料老人ホームの「建物の外観の写真」の表示で、その建物を所有していないにもかかわらず、そのことが明白に記載されていない場合
  • 入居者が利用する温水プールの表示で、そのプールは有料老人ホームが設置しているものではなく、〇〇市の市民プールであるにもかかわらず、そのことが明白に記載されていない場合
  • 「南向きの部屋」との表示で、南向きでない居室にもかかわらず、そのことが明白に記載されていない場合
  • 「終身介護」「生涯介護」などの表示で、入居者が有料老人ホームから退去またはほかの施設への住み替えを求められることがあるにもかかわらず、そのことが明白に記載されていない場合
●  新たな運用基準制定への動き
  このほか介護サービスでは介護給付の「二重取り」対策に重点を置いた。たとえば買い物代行など、介護保険の給付対象ではないが入居者の特別な希望を受けて個別にサービスを提供する場合、その具体的内容と費用を明確に記載することを求めている。
  指定告示の具体的な運用基準案も公表した。今夏にも「『有料老人ホーム等に関する不当な表示』の運用基準」をまとめる方針だ。
2004.05.06
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