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危機管理にはコンプライアンス体制の構築が重要!
●  問われる企業の「危機管理」体制
  鳥インフルエンザによる京都府の浅田農産、西武鉄道の総会屋への利益供与など、企業の不祥事は枚挙に暇がない。このような企業の不祥事は、業種や規模に関係なく起こり、企業における「危機管理」体制が問われるようになった。
  企業を取りまくリスクには、火災、地震、テロ、コンプライアンス違反など直接利益につながらないものまで、ありとあらゆるものがある。これらを管理・統制・予防し、万一のリスク発生後にはすばやく対処して危機管理を行うことを、欧米では「トータル・リスク・マネジメント(以下、TRM)」と呼んでいる。
  欧米企業では、TRMに対処する目的の最高リスク責任者(CRO:Chief Risk Officer)をおいて、経営責任の重要なこととしてとらえている。
  かつて起きた雪印食品の食品偽装事件などが示すように、TRMの成否は、企業自体の存続にかかわるが、日本企業においては、この最高リスク責任者(CRO)をおいている企業はほとんどなく、担当役員をおいている企業は、大企業で6割程度とみられている。
●  リスクマネジメントとクライシスマネジメント
  日本企業が重視しているリスクは、「取引先リスク(不良債権など)」「製品欠陥リスク」「売上減少リスク」など、リスクマネジメントと呼ばれるもので、問題発生前の対策を中心になされてきた。
  一方、クライシスマネジメント(危機管理)は、発生した事故、不祥事など現実(リスク発生後)の危機への対応を迅速に行うために日ごろより対策を立てて実行するもので、リスクマネジメントと区別するのが一般的である。
【危機管理対策を必要とする事項】
社内不正、不正な会計操作、コンピュータ通信・ネットワーク破壊、情報漏えい、マスコミの中傷報道、訴訟問題、労務問題(セクハラなど)、恐喝 など
●  コンプライアンス体制の構築
  リスクマネジメントやクライシスマネジメントを実行する上で、必要不可欠なのが「コンプライアンス(倫理法令順守)」体制の構築である。
  「コンプライアンス」の基となった言葉の「Comply」は、「人の期待、願い、要望に応える」という意味があり、企業の場合、「顧客(消費者)の要望や期待に応える」ためには、コンプライアンス体制を確立していかなければならないということになる。
  そして、コンプライアンス体制構築の意義は、顧客(消費者)一人ひとりを守ることであり、そうすることで企業が信頼され、企業の存続はもちろん、発展へとつながっていく。
  企業は利益追求のためだけにあるのではなく、「企業は本来、公共的なものであり、『世のため、人のため』になってこそ存在価値がある」といわれている。「企業は永遠に存在する」という企業本来の使命のためにも、日本企業はコンプライアンス体制の構築を真剣に取り組まなければならない時期にきているようである。
2004.05.06
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