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離婚増加の実態と原因
●  離婚件数は14年連続で増加
  離婚件数が近年ほぼ一貫して増加している。
  厚生労働省発表「平成15年人口動態統計の年間推計」をもとに直近の実態をみると、婚姻件数が73万7,000件であったのに対し、離婚件数は28万6,000件で、結婚したカップルの4分の1が離婚している計算になる。なお、離婚件数は平成14年に比べ、4,000件減少している。これは婚姻件数も前年比で2,000件減少しているためと思われる。
  婚姻件数は、ベビーブーマーが大量に結婚した1972年に109万9,000件と戦後最高を迎えたが、その後減少している(図表参照)。本来なら、ベビーブーマーの子どもたちが次の婚姻件数の山を作るはずだが、晩婚化や未婚率の上昇などによって、目だった婚姻件数の増加はみられていない。
  一方、離婚件数は1960年代の半ばごろから次第に増加している。1983年に17万9,000件とピークを迎え、その後いったん減少している。これは、バブル景気の中で離婚の動機が薄れたものか、それとも1973年から婚姻件数が減少し始めたため、離婚件数も減少したのかは定かではない。
  1988年に離婚件数は底を打ったが、その後一貫して増加を続け、平成14年まで14年間連続して増加している。この原因は生活意識・女性の経済力の向上によるものと思われるが、そのヒントとなるのが、2004年4月14日〜21日の間にinfoseekリサーチで実施された「生活についてのアンケート(離婚に関する調査)」である。
平成15年の1月から10月までの速報値をもとに年間推計を行っている
【図表 婚姻・離婚件数の推移】
【図表 婚姻・離婚件数の推移】
出典:「厚生労働省 平成15年人口動態統計の年間推移」
●  男女間で離婚意識の違い
  そのアンケートでは、「パートナーとの離婚を考えたことがあるか」という問いには「現在考え中」「以前は考えたことはある」を合わせると、男性が29.4%、女性が43.1%で女性が多い。「現在考え中」と回答した中で年齢別での割合をみると、男性では30歳代前半が10.3%、女性は40歳代後半が9.2%と特に高い。男性の方はまだ子どもがおらず身軽である時期、女性は子どもがある程度成長し、手が離れた時期である。   離婚を考えた理由としては、男性の意見では「性生活の不一致」25.9%、「金銭感覚の不一致」22.0%が多く、女性では「両親や親せきの問題」25.9%、「一緒にいると精神的に抑圧される」22.8%が多かった。 このように離婚に関する意識は夫婦間で大きく異なっている。これは婚姻期間中の夫婦の意識にずれが大きいということである。バブル崩壊により、個人の価値観が大きく変化しているなかで、夫婦間の価値観のずれが一層拡大し、離婚につながったという推測も可能である。
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.05.10
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