>  今週のトピックス >  No.823
3月の完全失業率、4.7%に改善
  総務省が4月30日発表した労働力調査(速報)によると、3月の完全失業率(季節調整値)は4.7%で、前月より0.3ポイント改善し、2001年3月以来3年ぶりに4.7%まで低下した。
  また、前年同月と比較すると0.7ポイント大幅に改善した。派遣社員の増加やヘルパーなどの求人の増加などが回復の理由と考えられる。製造大手企業のリストラが一段落したこともあり、政府は、景気の回復にあわせて雇用情勢の改善を強く願っているようだ。
●  男性の完全失業率は、前月比0.5ポイントの大幅改善
  3月の男女別完全失業率は、男性は、4.9%で前月に比べて0.5ポイント低下、女性は4.4%と0.1ポイント低下した。特に男性は大幅な低下で、4%台に下がるのは、実に2001年の3月以来である。年齢別にみると、ほかの世代以上に厳しい雇用情勢が続いていた若年層では、25歳未満の失業率(季節調整前)が前年同月比1.4ポイント減で11.8%となった。
  ポイントは低下しているが、失業者に該当しない専門学校生やアルバイト勤務の人などが増加している可能性もあるので、はっきりと実態が改善されているとは言いがたく、今後の動きに注意する必要がある。いずれにしても若年者の失業率を改善することが一番の課題であり、比較的業績の伸びているサービス業などの積極的な雇用に期待したいところである。
●  七五三現象
  中学卒で正社員に就職した人の7割、高校卒の5割、大学卒の3割が入社3年以内に離職してしまうという「七五三現象」という言葉を最近よく耳にする。例えば厚生労働白書によると、大卒者は1年目に13%が辞め、2年目になると23%、3年目に32%が辞めている。この現象自体は、雇用の流動化の時代にあってはどうしようもないが、退職後フリーターになったり、無職のままだったりする若者が増加していることが大きな問題である。結果的に年金の未納者も増加し、世代間扶養をベースとする社会保障制度の基盤も崩れてしまう。ある研究所は、今後の経済にもかなりの影響が出ると分析している。
●  サービス業および医療・福祉の就業者数が増加
  労働力調査による主な産業別就業者数を前年同月と比べると、サービス業、医療・福祉業などが増加し、製造業などが減少している。労働者派遣法の改正により3月より製造業への派遣も解禁になり、各大手企業も徐々に派遣社員を導入している。トヨタ自動車は製造ラインに初めて派遣社員を500人採用し、松下電器産業グループも今後派遣社員を採用していく予定である。
  正社員の占める割合が減少し、アルバイト・パートタイマーおよび派遣社員が増加していく傾向は、今後も一層強くなるに違いない。このような傾向に伴い、完全失業率が今後どのような動きをするかは、大変興味深いところである。
【図表 完全失業率の推移(男女計)】
【図表 完全失業率の推移(男女計)】
出典:「総務省統計局 労働力調査」
(社会保険労務士 庄司 英尚)
2004.05.17
前のページにもどる
ページトップへ