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NPO法人、地域の住民活動の受け皿に
  竹中経済財政政策担当大臣は、5月21日の閣議に平成16年版『国民生活白書』を提出した。「人のつながりが変える暮らしと地域〜新しい『公共』への道」をテーマに、地域での住民活動に焦点を当てているが、その中でも地方公共団体や企業と協力して多くのユニークな活動をするNPO法人に注目している。
●  NPO法人は、全国で約16,000件
  NPOとは、Nonprofit Organizationの略で、「非営利」で、規約などがある民間組織のことをいう。NPO法人とは、NPOのうち特定非営利活動促進法に基づき、都道府県または内閣府に対し、認証を受け、登記を行って法人格を取得した団体である。NPO法人は1998年以降急速に増加していき、内閣府の調査によると2004年3月31日時点で、全国で16,160法人が認証を受けている。内閣府が実行したNPO法人の認知度に関するアンケートも、2000年には、NPOについて「全く知らない」と答えた割合は、47.2%であったものが、2004年にまで10.5%に下がっている。認知度も高まりつつある今日、特に自治体は、自治体だけでは提供できない多様なサービスを求められているだけに今後のNPOの在り方に期待している。
●  NPO団体と地縁型団体との協働が必要
  新たな地域づくりの担い手として、近年地域とのかかわりを持ち始めているNPOは、特定の目的の下に集まった専門性の高い団体である。一方、町内会・自治会などの地縁型団体は従来より地域とのかかわりが深く、行政と住民との橋渡し的な役割を果たしているなど地域内での人的ネットワークを持つ団体である。両者が良好なパートナーシップを築き、NPOの持つ専門性と地縁団体が持つ地域内の人的ネットワークを共有することは、地域活動の効果を高める上で意義があるものと思われる。しかし、現状の関係はおおむね良好な状態にあるとは言い難い。内閣府のアンケートでも地縁型団体との関係が良好だと答えた割合は約4割にすぎないという結果が出ており、今後の課題でもある。
  今後NPOが新たに協働に取り組みたい分野は、「まちづくり」、「子どもの健全育成」、「環境保全」、「福祉」が多い。このうち「まちづくり」については、地縁型団体と協働したいと考えるNPOの割合が高い。いずれにしてもお互いに協働して問題解決に積極的に取り組む姿勢こそが大事ではないだろうか。
●  「生きがい」は、仕事以外から
  「働く目的は何か」という問いに対する答えについて見てみると、「お金を得るため」と回答した人の割合は1997年の34.0%から2003年には49.5%へと増加し、「生きがいを見つけるため」と回答した人の割合は33.1%から22.5%へ減少している。このアンケートから仕事以外で生きがいを持っている、あるいは求めている人が増えていることを示しているのがうかがえる。
  現在自分の住んでいる地域の活動に参加している人は、約1割にすぎない。しかし現在は参加していないけれども「今後は参加したい」と回答した人を含めると、61.8%と前向きな回答が多くなる。この人々が地域の課題に自発的に取り組むことで、新しい形の「公共」が創出される可能性は高く、その活動の受け皿としてNPO法人は重要な役割を果たすことになると思われる。
参考:「平成16年度版 国民生活白書」
(社会保険労務士 庄司 英尚)
2004.05.31
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