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社員旅行と社内預金の減少
●  社員旅行の実施率は約4割
  かつて、日本企業の代表的な福利厚生であったものが、今影をひそめ始めている。
  まず社員旅行(社内旅行)が激減している。産労総合研究所発表「社員(職場)旅行と社内行事等に関する調査」の調査結果によると、社員旅行の実施率は、1994年の調査では88.6%だったが、1999年では61.7%、2004年では39.5%と急激に低下している。なお、企業規模によっても多少差があり、従業員300名以上の会社は36.4%と少ない一方、100名未満ではほぼ半数の49.5%が実施している。
  社員旅行を実施しない理由を尋ねた(複数回答)ところ、「社員の価値観の変化」が56.5%、「福利厚生費の削減」が35.5%、「福利厚生予算の再配分」が13.8%となっている。社員からの社員旅行を望む声が弱まったため、その費用をほかの福利厚生費などに回したという図式が見受けられる。
  一方、社員旅行を実施している会社の実施状況については、年1回実施するという回答が68.7%とかなりの割合を占めている。実施する時期は秋が多く、9月、10月、11月だけで59.7%と過半数を超えている。紅葉狩りと温泉ツアーを兼ねるケースが多いようだ。
  旅行の規模は1泊2日が77.0%と大部分を占めており、旅費は一人当たり約3万7,000円である。
  今後は、大規模企業では費用がかさむため社員旅行は続けにくいが、小規模企業では継続していくと予想される。
●  社内預金はかつての半分以下
  社内預金もかつては大企業においては代表的な福利厚生だったが、これも激減している。厚生労働省発表「2002年度社内預金の現状」によると、1980年は約4万7,000の事業所で社内預金制度があったが、2003年では約2万2,000と半分以下に減少している。社内預金をしている従業員も1980年は530万人だったが、2003年では97万人にすぎない。会社が預金利息を補てんする費用を出せなくなったということと、利率が下がった社内預金に従業員が魅力を感じなくなったということが、減少の理由として挙げられる。
  それを裏付けるように、今でも社内預金を実施している会社の社内預金利率は、平均で0.87%と市中金利よりかなり高い。厚生労働省が定める現在の下限利率は、年利0.5%である。ちなみに、97万人が利用している社内預金種類の内訳は、普通預金が71万人ともっとも多く、住宅積立預金が11万人、定期預金が3万人などとなっている。
2003年は3月末日時点
【図表 社内預金実施事業所数と預金労働者数の推移】
【図表 社内預金実施事業所数と預金労働者数の推移】
出典「厚生労働省 2002年度社内預金の現状」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.06.07
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