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回復がみえてきた個人消費
〜4月の「勤労者世帯家計調査」より〜
●  21年ぶりの大幅プラス
  総務省は、先月28日、4月の勤労者世帯(サラリーマン世帯)の家計調査(速報)を発表した。これによると、一世帯当たりの消費支出は36万6,027円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比7.2%の増加となった。この伸び率は、82年10月以来21年ぶりの高さとなったことから、各方面から注目を集めている。
家計の収入や支出について、全国約8,000世帯を対象とする調査。歴史が古く、GDPの推計にも用いられるため、個人消費の動向を探る経済指標として注目される。中でも、勤労者世帯(サラリーマン、公務員)の結果は、全世帯に先立って発表されるため注目度が高くなっている。ただし、サンプル数が少ないため、高額商品の購入等による短月の振れが比較的大きくなりやすいとされる。
●  ゴールデン・ウィークの特殊要因も
  もっとも、こうした高い伸びとなった背景には、ゴールデン・ウィークによる特殊要因も指摘される。今年は日並びに恵まれたことに加え、昨年新型肺炎SARSやイラク戦争の影響で海外旅行が伸び悩んだ反動から、旅行関係費用が大きな伸びとなり、これらが含まれる「交通・通信」、「教養・娯楽」がそれぞれ18.7%増、14.4%増と大きな伸びを示した。
●  基調的にも回復傾向が見える個人消費
  4月の大幅な伸びは、これらの特殊要因も背景にあるとはいえ、基調的にも回復傾向がみてとれる。消費支出は、昨年10月までプラス・マイナスが交錯する状況が続いてきたが、11月以降は、今年3月に対前年同月比微減となった以外は、おおむねプラスで推移している。
  また、個人消費の回復傾向が今後も持続した動きとなるのかを占う上で、重要な鍵を握る収入動向を見ても、今年1月以降は実収入、可処分所得ともプラスで推移している。
●  景気回復傾向の後押しとなるか
  昨年来、鮮明になりつつある景気の回復傾向は、米国や中国など海外景気の拡大から輸出の伸び、そして企業の生産・設備投資の回復、といった経路で、どちらかというと企業部門が主導する展開といわれてきた。その一方で、GDPの最大項目である個人消費は、回復の遅れが指摘されていた。
  今後、個人消費の回復がより鮮明になり、景気回復の強力な後押しとなるのか、その行方が注目される。
2004.06.07
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