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確定拠出年金の最新状況
●  広がる導入企業
  2001年10月から導入された確定拠出年金の企業型(企業型年金)の実施状況について、報告する。
  企業は厚生局が規約(確定拠出年金の制度規程を定めたもの)を承認することで、確定拠出年金を実施することができる。2004年2月末時点で承認された規約は707件である。4月末では868件まで増加しており、年内に1,000規約超えは確実の状況である。実施法人数は2,481社と、2,000社の大台を超えた。規約数と法人数が一致しないのは、一つの規約で複数の法人が実施する「総合型」があるためである。実施法人を企業規模別に見ると、100名未満が1,427社と多い一方、1,000名以上も271社が実施している。加入者数は2月末で68万4,000人である。2月末の法人数が2,007社であることから、1法人当たりの加入者数は平均で341人となる。
  4月末時点で承認されている868件の規約のうち、ほかの退職給付制度からの資産の移管があったものは、562件である。そのうち、適格退職年金だけから資産移管された規約が323件、退職一時金だけからの移管が109件、適格退職年金と退職一時金からの移管が99件となっている。資産の移管がないものは306件と、半数以下である。
●  運用商品数は平均13商品
【図表 運用商品の内訳(平均品目数)】
品目
提示数
預貯金
1.8
信託(金銭信託)
0.6
金銭信託以外の
証券投資信託等
8.9
生保・損保
1.5
  運営管理機関が従業員に提示する運用商品数は、最大で45商品、最少で3商品、平均で13商品となっている。確定拠出年金法では最低3商品と定められている。
  図表を見ると分かるように、運用商品の内訳は投資信託の品目数が多い。これは国内・国外、公社債・株式など、さまざまなアセットアロケーション(資産配分)の投資信託を提示して、多様なリスクリターンニーズに対応しているためである。一方、預貯金・保険はそれぞれ2種類程度にとどまっている。なお自社株を提示しているのは3社にすぎない。
  掛金額(年額)は平均155,970円である。300名未満の法人では平均154,030円、300名以上では平均158,000円であり、企業規模による差はあまり見られない。規約上の掛金の上限を法律上の掛金の上限としているのは383件の規約にのぼる。
  確定拠出年金の加入者は原則厚生年金の被保険者とされているが、これは規約で制限することができる。加入資格を特に設けず、従業員全員加入としている規約は89件にとどまり、残りの779件は、加入の条件として一定の資格を設けている。
出典「厚生労働省 企業型年金の運用実態について(平成16年4月末現在)」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.06.14
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