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非正規社員の増加に対応した人事対策
●  雇用ポートフォリオとして非正規社員を位置づけ
  国内の雇用者は約5,300万人である。そのうち、非正規雇用(パート、アルバイトや契約社員など)は約1,500万人と全雇用者の3割近くを占めるようになった(総務省「平成15年 労働力調査」)。1994年では約600万人に過ぎず、10年間で2.5倍となっている。人数が増えただけではない。正社員と同じ仕事に従事している非正規社員の割合も高まっている。また、やむを得ず非正規社員の立場にとどまっている社員もいる一方、自らのワークスタイルの選択として非正規社員を選んでいる者もいる。
  こうしたなか、日本経団連は2004年5月に雇用の多様化に対応した今後の人材活用策を提言した。日本経団連はかねてから多様な人材の活用をはかり、「雇用ポートフォリオ」(雇用の最適編成)の考え方を提唱してきた。企業の存続・発展のためには、経営戦略として人材戦略を位置づけたうえで、「大集団管理から小集団・個別管理へ」「画一管理から多様化した管理へ」と管理の仕方を再構築し、従業員個々人をそれぞれの役割でのプロフェッショナルに育て、かつ活性化を図っていくことが求められている。雇用契約締結時に仕事・役割を明確に説明することや、コミュニケーションの充実、提案制度・表彰制度の導入などを行い、活性化を図ることが肝要だとしている。
●  正規社員とのコミュニケーション
  非正規社員の活性化においては、まず、同じ企業・職場で働く仲間として、正規社員との良好な関係をつくっておくことが重要である。非正規社員に対しては、雇用契約締結時に仕事・役割をきちんと説明する一方、正規社員に対しても、その位置づけ、働き方、仕事・役割などを説明し、両者の違いは、個々人の能力ではなく、雇用期間や働き方、仕事・役割とその変化などであることを認識しておくことが大切であり、これらが相互尊重のベースとなるだろう。非正規社員は顧客等との接点に立っている場合も多く、彼らの活性度・満足度が高ければ、企業への貢献意識も高まり、顧客のことを考えた対応が行われ、企業の収益の向上につながっていく。   したがって、非正規社員の職場に対する満足度を調査・把握したうえで、満足度が低いところについて、企業と従業員の双方にとってメリットがある場合は、その改善に努めていくことが大切となる。実際に、意識調査や満足度調査を行っている企業は少なくない。
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.06.28
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