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65歳以上の男性、1,000万人超す
  総務省発表の「人口推計月報」によると、65歳以上の高齢者人口は、平成16年2月1日現在、2,472万人であり、このうち、男性は1,044万人と1,000万人を超えている。また、総人口に占める高齢者の割合(高齢化率)は、19.2%となっており、およそ人口の5人に1人は高齢者という状況になっている。この割合は、今後も増加することが見込まれており、平成27年には26.0%、平成62年には35.7%に達すると予想されている(国立社会保障・人口問題研究所「平成14年 日本の将来推計人口」)。
●  高齢者が果たす役割
  高齢者の割合が増加する中で、高齢者の果たす役割も変わりつつある。例えば、家族や親族の中での役割についてみると、男性は、「家族の支え手」(39.2%)、「家族や親族関係の長」(39.7%)としての役割を、女性の場合、「家事の担い手」(76.9%)、「小さな子どもの世話」(10.1%)といった役割を担っている者が多く、重要な役割を果たしていることが分かる(内閣府「平成15年 高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」)。また、労働力人口をみると、労働力人口総数のうち65歳以上が占める割合は、7.3%となっており、実に489万人にのぼる(総務省「平成15年 労働力調査」)。今後、労働力人口総数が減少に転ずることから、労働力人口の高齢化は一層進展していくことが見込まれるため、社会においても高齢者の果たす役割が重要になってきている。
●  社会保障給付における高齢者関係給付費の増大
  年金・医療・福祉における社会保障給付をみてみると、平成13(2001)年度は81兆4,007億円であり、国民所得に占める割合は、昭和45(1970)年度の5.8%から22.0%に大きく上昇している(国立社会保障・人口問題研究所「社会保障給付費」)。特に、高齢者関係給付費の内訳では、年金保険給付費が40兆6,178億円と全体の4分の3弱を占めており、財政面でも高齢社会への対策が急務となっている。
●  高齢社会の対策
  平成7年に制定された高齢社会対策基本法で「高齢社会」という言葉が初めて法律で使われたわけだが、一般的に「高齢社会」とは、高齢化率が14%を超えた社会のことを呼んでいる。「高齢社会対策」は、社会のシステムが高齢社会にふさわしくなるように改善していくことであって、高齢者のみを対象とするようないわゆる「高齢者対策」よりも広い概念であることはきちんと理解しておく必要がある。
  政府は、高齢社会対策として、平成16年度の新規施策を打ち出している。この新規施策は「就業・所得」「健康・福祉」「学習・社会参加」「生活環境」「調査研究等の推進」の5つに区分されている。「就業・所得」では、事業主、企業への支援、雇用管理の見直し、「生活環境」では、高齢者の身体機能の低下に配慮した賃貸住宅への整備費補助、家賃減額費補助などが挙げられる。
  高齢社会への対策が急務となっている中、こうした政府の取り組みによる、高齢者の働きやすい職場環境の整備や安心して住める環境整備が、今後の高齢社会を支える礎となると思われる。
(社会保険労務士 庄司 英尚)
2004.06.28
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