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高齢ドライバーの運転意識と年齢別交通事故の推移
  高齢者の増加に伴い、今後、車を運転する高齢者が増加するとみられる。それに伴い、高齢者の交通事故も増えるのではないかと考えられる。そこで、高齢ドライバーの意識や、高齢者を第1当事者*1とする交通事故の傾向を見てみたい。
*1最初に交通事故に関与した車両等(列車を含む)の運転者または歩行者のうち、当該交通事故における過失が重い者をいい、過失が同程度の場合には人身損傷程度が軽い者を指す。
●  過半数の高齢ドライバーは「自分の運転はうまい」と評価
  東京交通安全協会では、高齢者講習*2の受講者を対象に意識調査を実施している。高齢ドライバーに対して、高齢者の運転は危険だと思いますか、と聞いたところ、73.6%の人が「そう思う」または「どちらかといえばそう思う」と答えている。
  一方、自分の運転に対する評価はというと、57.0%の人が自分の運転はうまい方だと思っている(「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計)。
  続いて「自分の運転はうまいほうだ」と思う人の運転中の感じ方を見てみると、「若い人に比べて反応は遅くなっているかもしれないが、運転技術は負けていない」「情報の取り入れや判断はしっかりしている」の割合が高く、高齢になってもまだまだ自分の運転技術や判断に自信がある人が多いようだ。
*2平成14年6月施行の改正道交法に基づき、運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が70歳以上の人に対して義務付けられた講習。講習内容は運転適性診断、実車による指導など。
【図表1 「自分の運転はうまい方だ」と感じる高齢者の割合】
【図表1 「自分の運転はうまい方だ」と感じる高齢者の割合】
【図表2 「自分の運転はうまい方だ」と感じる高齢者の割合】
(単位:点)
 
自分は「運転がうまいほうだ」
と思っている人
自分は「運転が下手なほうだ」
と思っている人
自分はルールをよく守っている
1.3
1.3
若い人に比べて反応は遅くなっている
かもしれないが、運転技術は負けていない
1.5
2.5
情報の取り入れや判断はしっかりしている
1.5
2.3
周りの運転者にはルールを守らない
人が多い
1.6
1.9
自転車でもひどい運転をしている
人がいる
1.4
1.4
歩行者はルールを守らない人が多い
1.4
1.6
(注)「下手なほうだ」と思っている人は、図表1の「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」人の合計。点数が小さい方が、各項目について肯定的な回答となる。
出典「(財)東京交通安全協会 高齢ドライバーの交通事故防止のためのアンケート(報告書)平成15年度」
  実際の高齢ドライバーの運転に対し、東京交通安全協会では状況に対する反応時間が長くなり対応が遅れたことによる「焦り」も加わり、見落としや判断ミス、運転操作の誤りなどが発生する可能性があると注意を促している。
●  高齢者が当事者となる交通事故が増加
  実際の交通事故件数の推移(第1当事者の年齢別)を見ると、20歳代が第1当事者となる事故が減少し、60歳以上の人が第1当事者となる事故が増えている。今後も高齢ドライバーが関係する交通事故が増えるのではないかと懸念され、高齢者が講習を受けて運転技術や動作を確認するとともに、大きく見やすい標識の設置など道路環境の整備(警察庁、国土交通省が推進している)をさらに進めることが必要となっている。
【図表3 第1当事者(原付以上運転者)の年齢層別交通事故件数の推移(各年12月末)】
【図表3 第1当事者(原付以上運転者)の年齢層別交通事故件数の推移(各年12月末)】
出典「警察庁 平成15年中の交通事故の発生状況」
2004.06.28
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