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3割の企業がフリーター経験をマイナス評価
  厚生労働省が7月2日発表した「平成16年 雇用管理調査結果の概況」によると、フリーターを正社員として採用する場合、フリーターであったことを「プラスに評価する」と答えた企業はわずか3.6%にとどまり、「マイナスに評価する」が30.3%にのぼった。この調査でフリーター経験のある若者を厳しく評価する企業の姿が浮かび上がった形となった。
【図表 フリーターであったことの評価別企業数割合】
(単位:%、全企業=100.0)
【図表 フリーターであったことの評価別企業数割合】
●  マイナス評価の理由は「根気がなくいつ辞めるかわからない」
  フリーターであったことをマイナスに評価する企業にその理由を聞いてみると、「根気がなくいつ辞めるかわからない」と答えた割合が最も多く70.7%、次いで「責任感がない」が51.1%、「職業に対する意識などの教育が必要」が42.6%となっている。企業側がマイナス評価する理由も理解できるが、フリーターがすべてそうだと決めつけてはいけない。逆にフリーターであったことをプラスに評価する企業にその理由を聞いてみると「豊富な経験を活用できる」が57.0%で最も多く、次いで「チャレンジ精神を持っている」「技能、知識がある」と続いている。
●  約1割の企業でフリーターを正社員として採用
  平成15年(1〜12月)の1年間に、「フリーターを正社員として採用した」企業割合は11.8%となっている。企業規模別にみると、いずれの企業規模でも「フリーターを正社員として採用した」企業割合は1割を超えている。採用した理由をみると、「即戦力として期待できたから」とする企業割合が最も多く49.6%、次いで「人手が足りなかったから」が43.3%となっている。またフリーターを採用する場合の年齢の上限をみると、「35歳未満であれば年齢制限なし」とする企業割合が最も多く33.7%、次いで「25〜29歳」が26.0%となっている。
●  フリーターの増加が及ぼす影響
  労働者人口の約5分の1を占めるといわれているフリーターがこれほどまで増加している理由を分析してみると、企業は新卒採用を抑制していることや最近の若者の価値観の変化があげられる。
  フリーターがこのまま増加していけば、賃金の水準が下がるので納税額も下がり、国の社会保険料徴収額も下がってしまう。このままでは2010(平成22)年には経済成長率を1.9%押し下げてしまうという試算もある。国と各企業が協力して、フリーターが正社員に移行しやすい環境を形成していくことが日本の明るい未来のためにも絶対必要なことではないだろうか。
参考:「厚生労働省 平成16年 雇用管理調査結果の概況」
(社会保険労務士 庄司 英尚)
2004.07.12
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