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確定給付型企業年金の最新状況
●  厚生年金基金は、最盛期の5分の1へ
  2001年の「企業年金ビッグバン」を機に、従来は厚生年金基金と適格退職年金が中心であった企業年金は、厚生年金基金は代行返上が進む、また適格退職年金は2012年3月までに他の制度に移行することとなる一方、確定給付企業年金および確定拠出年金が普及しはじめている。
  厚生年金基金は、最盛期には1,883基金があった(1996年度)。代行返上が進んだ現在では、2004年7月1日時点で1,127件に減少している。このうち、すでに将来分を返上している基金が770もある。そのため、現存する基金は357件となり、最盛期の5分の1に過ぎない。またすでに過去分まで返上した基金は、416件にも上る。
  すなわち最盛期に1,883件あった基金は、全体の6割である1,186件が過去分または将来分が返上され、厚生年金基金の姿をとどめるのは357件と約2割、残りの2割は解散に至ったこととなる。
  加入者数は最盛期では1,200万人以上もいたが、現在は730万人となっている。
  過去分を返上した厚生年金基金416件は、420件の確定給付企業年金として生まれ変わっている。この内訳は基金型が316件、規約型が104件となっている。
参考:厚生年金基金連合会資料
●  キャッシュバランスプランが確定給付型の3分の1
  適格退職年金は、最も件数の多かった1993年度では92,467件であったが、2004年3月末現在では、59,162件と約36%減少している。加入者数は1995年度で約1,078万人と1,000万人を超えていたが、現在は777万人と約28%減少している。加入者数よりも件数の減少が著しいのは、小規模な適格退職年金が多く減少したことを示している。
  一方、2002年4月から始まった確定給付企業年金は、2004年7月1日時点で634件である。厚生年金基金から移行した420件を除くと、214件が新設または適格退職年金から移行されたことになる。
  確定給付企業年金のうち、キャッシュバランスプランに分類されるものは、2004年4月時点で178件であり、同日時点での確定給付企業年金510件の35%を占めている。特に大企業の中で導入する企業が多い。通常の確定給付型に比べて企業財務への影響が少なく、確定拠出年金にまでは踏み切れない企業が導入を進めているとみられる。
参考:厚生労働省資料
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.07.20
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