>  今週のトピックス >  No.866
住宅のリフォームや賃貸を考える世帯が増加
  国土交通省発表の「住宅需要実態調査」は、人々の住宅・住環境に対する評価、最近の居住状況の変化、住み替え・改善の意向、今後の住まいの意識等について、5年に1度、調査を実施している。この最新の調査速報(平成15年)から、住宅の住み替え・改善について人々の考え方をみてみたい。
●  住み替え・改善を考える世帯の割合は減少傾向
  平成15年の速報によると、新築、建て替え、住宅購入、増改築、賃貸住宅入居など、住宅改善について「意向がある」と答えた世帯は全体の約20%となった。これは10年前の平成5年の調査と比べると8ポイントの減少で、住宅の改善を考える世帯が減っていることを示す結果となっている。
【図表1 住み替え・改善の意向の有無】
【図表1 住み替え・改善の意向の有無】
出典:「国土交通省 平成15年 住宅需要実態調査(速報)」
●  改善の内容は「リフォーム」「賃貸」が増加
  住宅の住み替えや改善の意向がある世帯に、その内容を聞いたのが図表2である。平成5年の調査と比べると、「リフォーム(増改築、模様替え、修繕など)」が15.9ポイント、「家を借りる」が5.4ポイント増加した一方で、「建て替える」「新築する」が減少し、「家を購入する」も微減となっている。このことから、建て替えを行わずリフォームで済ませる世帯が増えたことや、家を新築購入する世帯が減り、そのまま賃貸を続ける世帯が増えたと見ることができるだろう。
【図表2 住み替え・改善の内容】
【図表2 住み替え・改善の内容】
出典:「国土交通省 平成15年 住宅需要実態調査(速報)」
  リフォームや賃貸の割合が増えた理由の一つとして、多額の資金がかからない改善手段を選ぶ世帯が増えたことが考えられるだろう。調査年である平成15年は、平成10年、平成5年と比べて、経済や企業収益の不振を背景とした雇用不安や、給与カットなどによる安定的な勤労収入への不安感が強まったこともあり、多額の住宅ローンを抱えることにブレーキがかかったのではないだろうか。
  国土交通省「平成15年度 住宅市場動向調査結果(要旨)」によれば、リフォーム費用は平均195.8万円であり、注文住宅(土地代金を含まない)2,892.5万円、分譲住宅3,676.3万円と比べて、十分の一にも満たない資金で住まいの改善ができる。賃貸に住み続ける場合も、一時的に多額の資金が必要となることは通常ないだろう。また、リフォームを考える世帯が増えた理由としては、リフォーム技術が進んだ結果、リフォームで十分な住まいの改善効果が得られるようになったことも考えられるだろう。
2004.07.26
前のページにもどる
ページトップへ