>  今週のトピックス >  No.868
企業へ成果主義が浸透
●  大部分の企業に浸透する成果主義・業績主義
  7月に、企業での成果主義の浸透度などを調査するために(独)労働政策研究・研修機構が行った「労働者の働く意欲と雇用管理のあり方に関する調査」の結果が発表された。
  雇用管理制度の中で「仕事の成果を賃金に反映させる制度」を、すでに導入している企業が55.8%、今後3年以内に導入する企業が26.7%であり、今後ますます成果主義賃金が浸透していきそうである。「3年前と比べて業績が賃金に反映されるようになった」という回答が29.3%であり、「反映されなくなった」の7.4%を大きく上回っており、部門や会社の業績が賃金に反映されるようになったことが裏付けられる。
  また「人事評価の基準として年齢や勤続年数よりも成果を重視する」雇用方針について、今後3年間においてそれがあてはまる企業は42.4%、ややあてはまる企業は45.7%とやはり成果主義人事の浸透が予想される回答となっている。
  それを受けて、企業側に回答を求めた質問で、「職場の業績や成果を上げよう」という職場の雰囲気が強まった、またはやや強まったとする回答が72.8%と高い。また「一人ひとりの能力を活かそう」という雰囲気も、強まったまたはやや強まったとする回答は64.7%と高い。一方で「ゆとりを持って仕事をしよう」という雰囲気はどちらかといえば弱まった、弱まったが41.6%と多く、職場が高い緊張感に包まれている様子が伺える。
●  従業員は成果主義には不信感
  一方、成果主義・業績主義に対して従業員はどう感じているのか。「評価の賃金への反映に対する納得感」が、高まったとする回答は9.7%、逆に低下したとする回答は29.9%であり、人事評価が賃金に反映されていないと感じる従業員が多いようだ。また仕事の成果や能力評価に関する公平感が高まったとする回答が10.9%なのに対して、低下したとする回答が20.0%と多く、成果主義の根幹である評価の公平性についても、従業員は不満を持っているようだ。
  従業員の75.8%がストレスを強く感じる、またはやや感じると回答しているが、3年前と比べてストレスが強くなった、またはやや強くなったとする回答が60.3%と過半を占めている。成果主義以外にも従業員のストレスの種はつきないようだ。会社の将来性、重い責任、多い仕事量、雇用の不安定性、長時間労働、職場の人間関係などがストレスの原因である。
  成果主義はグローバル化、IT化の中で避けられない人事政策とはいえ、従業員には受け入れられておらず、会社の中長期的な成長にとって本当にプラスなのか疑問を投げかける結果といえる。
出典:(独)労働政策研究・研修機構「労働者の働く意欲と雇用管理のあり方に関する調査」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.08.02
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