>  今週のトピックス >  No.872
今後も進む雇用形態の多様化
●  事業所規模で異なる非正社員の雇用形態
  産業構造の変化や景気の低迷を背景に、契約社員、派遣社員、パートタイム(以下「パート」)、アルバイトといった非正社員が急増し、雇用形態が多様化しているが、その実態を調査した報告書が発表された(調査時点は平成15年9月、対象は常用雇用者5人以上の11,624事業所である)。
  事業所で働く労働者の65.4%は正社員であり、パートは23.0%、残り11.6%は契約社員、派遣社員などであり、パートも含めた非正社員は34.6%となる。
  3年前(前回調査)と比べて、非正社員の比率が高まった事業所の割合は19.1%とさほど高くはない。非正社員の占率が上昇した理由は、パートの増加である。
  事業所規模別に見ると、まったく異なった様相であり、1,000人以上の事業所では、非正社員の占率が上昇したのは50.6%と、半分以上の事業所で非正社員が増加している。その増加の内訳は、派遣社員が27.9%、パートが12.2%、契約社員が11.8%となっている。事業所規模が小さくなるほど、パートの比率が上昇している事業所が多くなっており、大事業所ほど派遣社員、契約社員を採用して、非正社員の割合を高めていることが分かる。
  今後も非正社員の占率が上昇すると予想する事業所は19.8%であり、その大部分はパートで賄うとしているが、1,000人以上の事業所に限れば、占率が上昇すると予想するのは43.0%、そのうち派遣社員が25.5%、パートが14.2%、契約社員が10.7%となっている。つまり、規模の大きい事業所を中心に派遣社員、パートなどの非正社員が増加すると予想される。
●  雇用目的で異なる雇用形態
  非正社員の雇用目的(3つまで複数回答)の上位は、「賃金の節約」(51.7%)、「仕事の量の繁閑に対応」(28.0%)、「景気に応じた雇用量の調整」(26.5%)、「即戦力の確保」(26.3%)、「専門的業務への対応」(23.1%)である。雇用形態別では、契約社員は「専門的業務への対応」「即戦力の確保」が上位の雇用目的となっている。派遣社員では、「即戦力の確保」「労務コストの節約」「賃金の節約」が上位を占め、パートでは、「賃金の節約」が雇用目的の過半数を占めている。つまり、契約社員は専門性のある業務の即戦力として期待され、パートは人件費削減が目的、派遣社員は即戦力・コスト削減といういずれもの目的で雇用した人材がいることになる。
  非正社員の活用上の問題点として、仕事に対する責任感、良質な人材の確保、仕事へのモチベーション維持があげられており、こうした問題点の解決が一層多様な雇用形態を推進することになる。
出典:厚生労働省「平成15年 就業形態の多様化に関する総合実態調査結果の概況」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.08.09
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