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災害における納税の減免措置
●  申告などの期限の延長
  7月の新潟・福島および福井における局地的な豪雨災害の発生に伴い、地域を指定して国税に関する申告、申請、納付等の期限の延長がなされた。なお、指定されていない地域でも、所轄税務署長が今回の豪雨により、申告等がその期限までにできないと認めるときは、納税者の申請に基づいて、期日を指定して2カ月以内に限り期限の延長を行なえる。
  今年は台風などの風水害による災害も多く、新潟・福島および福井の指定地域などで被害を受けた方だけでなく、その他の被災地の方に対するアドバイスとしても参考にしていただきたい。
注:指定地域は、7月20日付国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp)に掲載
●  納税の猶予が可能な国税
  災害などにより相当の損失を受けた場合、税務署長に申請することで次のとおり納税の猶予を受けることができる。
(1) 損失を受けた日に納期限が到来していない国税
  A.損失を受けた日以後1年以内に納付すべき国税 ・・・・納期限から1年以内
  B.所得税の予定納税や法人税・消費税の中間申告分・・・確定申告書の提出期限まで
  注:A、Bともに災害がやんだ日から2カ月以内に申請する必要がある。
(2) 既に納期限の到来している国税で一時に納付することができないと認められる国税
                         ・・・1年以内
●  確定申告で所得税の全部または一部軽減
  確定申告で「所得税法」に定める雑損控除の方法もしくは「災害減免法」に定める税金の軽減免除による方法のどちらか有利な方法を選択できる。
 
所得税法(雑損控除)
災害減免法
損失の発生原因
災害、盗難、横領による損失が対象
災害による損失に限る
対象となる資産の
範囲等
生活に通常必要な試算に限る
(棚卸資産や事業用の固定資産、山林、生活に通常必要でない資産は除く)
住宅や家財。ただし、損害額が住宅や家財の2分の1以上であること
控除額の計算または
所得税の軽減額
控除は次の(1)と(2)のうちいずれか多い方の金額
(1)差引損失額−所得金額の10分の1
(2)差引損失額のうち災害関連支出の金額−5万円
注1:差引損出金額=損害金額−保険金などによって補てんされる金額
注2:災害関連支出=災害により滅失した住宅、家財を除くための費用や豪雪による家屋の倒壊を防止するための屋根の雪下ろし費用など
その年の所得金額
所得税の軽減額
500万円以下
全額免除
500万円超
750万円以下
2分の1の軽減
750万円超
1,000万円以下
4分の1の軽減
参考事例
  • 災害等に関連してやむを得ない支出をした金額についての領収書を確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示が必要
  • 損失額が大きくて、その年の所得金額から控除しきれない金額は、翌年以後3年間に繰り越して各年の所得金額から控除できる
  • 原則として損害を受けた年分の所得金額が1,000万円以下の人に限る
  • 「損失額の明細書」を確定申告書に添付することが必要
注:
「生活に通常必要でない資産」とは、別荘や競走馬、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨董等をいい、これらの資産についての災害等による損失は雑損控除の対象とはならないが、その年か翌年に譲渡所得があれば、その所得から控除できる。
●  平成16年分による比較例
  所得600万円、夫婦と子ども2人(うち長子は高校生で特別扶養親族)、社会保険料控除68万円、生命保険料控除5万円として、所得税額が37万円(平成16年定率減税処理後29万6千円)とした場合、損害額により「雑損控除適用」か「災害減免法適用」のどちらかを選択できる。
損害額
雑損控除適用による所得税額
災害減免法適用による所得税額
100万円
310,000円(248,000円)
185,000円(148,000円)
200万円
210,000円(168,000円)
300万円
110,000円(88,000円)
注1:損害額は、住宅や家財の2分の1以上
注2:上表の( )内は、定率減減税処理後の金額
出典:「国税庁ホームページ」
2004.08.09
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