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女性社員の配置・昇格の実態
●  男女社員間で配置は微妙に異なる
  女性社員の採用・配置・昇格の実態に関する調査報告がまとまった(厚生労働省「平成15年度 女性雇用管理基本調査」)。
  まず採用段階については、コース別雇用管理がなされている企業では、図表1のように総合職(企画的業務に従事し全国転勤がある)は男性中心、一般職(定型業務に従事し転勤がない)は女性を採用するというおおまかな切り分けがなされている。
  部門別の配置状況については、どの部門においても「男女ともに配置している」とする回答が最も多い。それでも、部門別にみると、「人事・総務・経理」部門では85.1%、「企画・調査・広報」部門では80.6%、「情報処理」部門76.0%、「販売・サービス」部門75.6%、「生産」部門72.5%、「研究・開発・設計」部門70.1%、「営業部門」61.5%とかなり差がある。営業や研究開発といった会社の中心的な部門には男性を多く配し、バックオフィスには女性を配置するという傾向にあるようだ。
【図表1 コース別男女採用状況】
【図表1 コース別男女採用状況】
出典:厚生労働省「平成15年度 女性雇用管理基本調査」
●  大企業ほど女性管理職が登用されている
  女性の昇格についてみると、係長相当職以上の女性管理職を有する企業は62.5%であり、3分の2の企業では、女性が管理職に登用されていることになる。業種別に見ると女性管理職が多いのは「医療・福祉」(91.9%)、「飲食・宿泊」(77.1%)、「金融・保険」(76.3%)となっている。
  企業規模別に見ると、5,000人以上の企業のうち女性管理職が登用されているのは93.0%であるが、100人未満の企業では61.8%であり、企業規模が大きいほど女性の登用が進んでいることがはっきり分かる。
  女性管理職はいない、または少ない理由に対する回答では、「管理職に必要な知識・経験等がない」が48.4%、「管理職になるまでに退職してしまう」が30.6%、「管理職に就くまでの在職年数を満たしていない」が27.6%となっている。
  女性社員が辞めてしまうから管理職が少ないのか、管理職になれないから辞めてしまうのかは難しいところであるが、男女社員間で事実上生じている格差の解消を目的として行う積極的な取り組みをポジティブアクションという。それにすでに取り組んでいる企業は29.5%、今後取り組むとしている企業は8.8%、取り組む予定がない企業が28.7%、分からないが33.0%であり、7割の企業が手付かずの状態である。
  1985年に男女雇用機会均等法が抜本改正されて20年が経過しようとしているが、実態が変わるのはまだ先のようだ。
出典:厚生労働省「平成15年度 女性雇用管理基本調査」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.08.16
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