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「看護休暇制度」が実際にある企業は、約12%
  育児を支援する制度について東京都が行った調査結果をまとめた報告書(東京都産業労働局「平成15年度 東京都男女雇用平等参画状況調査結果報告書」)によれば、女性の場合は、希望する「育児支援制度」として「看護休暇制度」を選んだ人が最も多く、45.1%であった。しかしながら、実際に「看護休暇制度」があるという企業割合は、11.5%に過ぎない。これを見ると、労働者の希望と各企業の実態との間には、大きなギャップがあり、これをどのようにして埋めていくかが今後の課題である。
●  全体の半数以上は、育児休業法の要件を満たしていない
  育児休業法では、事業主は3歳未満の子を養育する労働者に対して育児休業の制度に準ずる措置又は勤務時間の短縮等の措置を講ずることを法律で義務づけている。上記の調査結果によれば、この措置にあたる「育児支援制度」のうち「短時間勤務制度」を整備している事業所は、55.5%と半数を超えている。次いで「所定外労働の免除」が41.0%、「始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ」が40.2%となっている。いずれの制度もない事業所は、28.6%に上り、規模別にみると100人未満の事業所では5割以上である。制度自体はあっても利用できる子の上限年齢を1歳未満としている例が多く、結果的に全体の半数以上の事業所は、育児休業法の要件を満たしていないことになる。
●  「看護休暇制度」は従業員の希望は多いが、制度のある事業所は少ない
  上記の調査結果報告書によると、育児支援制度のうち最も希望が多いのは、女性は、「看護休暇制度」で45.1%、男性は、「フレックスタイム制度」で32.3%である。しかしながら企業が整備している制度は、「看護休暇制度」が11.5%、「フレックスタイム制度」が20.9%に過ぎない。また男性に希望する人が多かったものとして「育児に要する経費の援助」がある。これは、「短時間勤務制度」などに比べて利用しやすいという理由もあり予想通りの結果といえるだろう。同様に女性の場合にも、「事業所内託児施設」は、「利用した」と答えている人が84.6%であるので、制度そのものがあればかなり多くの人が利用するのだが、中小企業には到底無理な話である。
●  企業のトップの気持ちが重要
  制度があっても、形だけで「前例がない」と認められなかったり、制度自体を利用できる雰囲気がなかったりとまだまだ「仕事と家庭の両立支援制度」は、広く浸透しているとはいい難い。しかし、なかには独自の制度を設けた結果、マスコミの話題になり社員が活性化し、業績が伸びている企業もある。他社の成功事例などを参考にして、各企業のトップが、労働者の気持ちになって考えられる余裕ができれば、より良い「仕事と家庭の両立支援制度」が出来上がるのではないだろうか。
出典:東京都産業労働局「平成15年度 東京都男女雇用平等参画状況調査結果報告書」
(社会保険労務士 庄司 英尚)
2004.08.23
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