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中退共の現状
●  減少を続ける事業所数・加入者数
  適格退職年金(以下、「適格年金」)からの資産の引継ぎが可能となって、改めて中小企業退職金共済制度(以下、「中退共」)が注目を集めている。
  2004年6月末の制度全体の状況をみると、事業所数は約39万3,000所、加入者数は265万5,000人である。ちなみに過去勤務期間通算制度の対象となっているのは約9万9,000人と少ない。また1事業所あたりの加入者数は、平均で約6.7人となる。
  事業所数は、2000年度末の421,708所をピークに減少傾向にある。加入者数も1996年度末の280万6,352人から減少傾向にあり、適格年金からの引継ぎが始まってもその傾向は変わらない。
  資産運用総額は、約3.0兆円となっている。これも2000年度末の約3.1兆円から残高は減り続けている。なお、2003年9月末の時点で2,462億円の欠損金を抱えている。
  資産の内訳は、金銭信託に34.5%、国債に24.1%、財政投融資に18.9%、生命保険に8.7%が主なところである。以前は生命保険の比率も高かったが、近年は指定金銭信託・特定金銭信託のウエイトが高まっている。
●  適格年金からの引継ぎ
  適格年金からの引継ぎは2002年4月から開始されている。適格年金からの引継ぎは、適格年金の積立不足があっても資産移換ができる点で、適格年金から確定拠出年金への移換とは異なる。中退共と適格年金を併用している事業所は、適格年金の資産を中退共に移換することはできない。
  また新規に中退共を開始した場合は国からの掛金助成があるのだが、適格年金からの引継ぎには新規としての掛金助成は認められない。もちろん中退共への引継ぎ後に掛金を増額する場合は助成の対象となる。
  引継ぎ開始以来、中退共に対して引継ぎの申し出のあった事業所は3,961所、加入者数は10万7,000人である。引継ぎのあった1事業所あたりの加入者数は平均約27人であり、全体の平均加入者数よりかなり多い人数である。また100人以上の企業も87社が中退共に引継ぎしている。
  適格年金から引継ぐ場合、適格年金の受益者期間の月数が限度であるが、さらに120カ月が条件となっている。2005年4月からその120カ月という条件が廃止されることとなっており、適格年金の資産の移換がしやすくなっている。
【図 事業所数と加入者数の推移】
【図 事業所数と加入者数の推移】
出典:中小企業退職金共済制度ホームページ
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.08.30
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