>  今週のトピックス >  No.885
景気減速リスクに敏感になり始めたマーケット
〜“GDPショック”とその背景〜
●  事前の予想を下回ったGDP
  8月13日、内閣府は2004年4-6月期のGDP(国内総生産)を発表した。これによると、4-6月期の実質GDPは、前期比0.4%増、年率換算で1.7%増と9四半期連続のプラス成長となった。しかし、2003年10-12月期の前期比年率7.4%、2004年1-3月期は同6.6%と2期連続で高成長が続いてきただけに、大方の予想を下回る結果となった。
  また、デフレとの絡みで注目される名目GDPは2003年1-3月期以来、5四半期ぶりに再びマイナスとなった。
  今回発表されたGDPの内訳をみると、個人消費は、実質で前期比0.6%増と、1-3月期の1.0%増ほどではないにせよ比較的底固い動きとなった。また、輸出から輸入を差し引いた純輸出は、7.2%増と引き続き高い伸びとなっている。
  一方、設備投資は0.0%増と1-3月期の1.7%増から大幅に減速した。
●  GDPを受けて、株価は大幅安に
  7月初め以降、日本の株式市場は米国の株安につられる形で軟調な展開が続いていたが、8月13日のGDP発表を受けて、1万1,000円近辺で推移していた日経平均株価は2日間で340円も下落し、一時1万600円台を付けた。その後は値を戻したものの、上値の重い展開となっている。
●  米国景気の先行き不安と原油価格の高騰
  今回のGDPは予想を下回ったとはいえ、2次速報値では上方修正されるとの見方も多い。また、7-9月期は、猛暑によるGDPの押し上げ効果を期待する声もある。こうしたことから、今回の結果だけをみて、景気の先行きを議論するのは早計であり、マーケットの反応は過剰反応との見方もある。
  しかし、これらの背景には米国経済の動向もある。米国では、雇用統計の非農業部門雇用者数が4月以降急増するなど、景気回復傾向が鮮明になったため、6月30日および8月10日の二度にわたり、政策金利の引き上げが行われた。しかし、その後は原油価格の高騰や雇用統計など弱めの経済指標の発表が相次ぎ、景気の先行きに対する不安が高まりつつある。
  現在の景気は、輸出の好調に支えられる面が大きいだけに、米国をはじめとした海外経済の行方が注目される。
【図 日米実質GDPの推移(前期比年率)】
【図 日米実質GDPの推移(前期比年率)】
出典:内閣府資料
2004.08.30
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