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ペイオフへ向けて「決済用預金」導入進む
  平成17年4月からのペイオフ全面解禁後も預金が全面保護される「決済用預金」について、地方銀行113行の9割以上が導入を予定している。
  「ペイオフ」は、過去2度の延期で地銀各行が準備を進めた結果、不安がなくなったととらえられる。
  ここで、「ペイオフ」と「決済用預金」について確認を含めて見ていきたい。
●  ペイオフ解禁のスケジュールと金融商品の種類別区分
  「ペイオフ」とは、銀行などの金融機関が破たんした場合に、預金額のうち元本1,000万円とその利息までについて、預金保険機構からの保険金支払いによって預金払戻しを保証するものである。ペイオフで保護の対象となるのは「1金融機関につき1預金者当たり」1,000万円とその利息までとなる。
●  決済用預金とは
  「決済用預金」は、(1)利息が付つかない(2)決済サービスを提供する(3)要求払いに応じる、の3条件を満たす預金口座をいい、万一金融機関が破たんしても、預金は預金保険機構からの保証を含め、全額保護される。
  これに該当する預金は、「当座預金」にすでにあるが、主に法人顧客が対象となり、出金が手形や小切手などに限られるため、個人利用に向かないことから、個人の一般預金者も使いやすい「普通預金」で「決済用預金」の3条件を満たすものを新たに導入されたのである。
  また、ペイオフが全面解禁となった場合は、普通預金にも全額保護の特例がなくなることから、信用が低い金融機関から資金が大量に流出し、金融システムに重大な事態が発生する恐れが生じることの対応策として「普通預金」で「決済用預金」を導入した。
  都道府県庁や市区町村役場などの地方公共団体は「指定金融機関」を定め、公金の収納や支払い事務を取り扱っているが、「決済用預金」で全額保護されることによって、指定金融機関の経営不安などで「指定」を外し、資金を移動する必要がなくなる。
  指定金融機関を外すことは、当該金融機関の信用不安をあおる恐れや地方公共団体と入札や納入などで取引関係にある地元企業への悪影響があり、これが回避できるわけである。
  ただし、「決済用預金」という世界的にも珍しい例外的な口座形態で保護することは、ペイオフ実施の本来の目的である金融システム全体を健全に保つことからすると、来年4月からのペイオフ全面解禁に向けての暫定措置的なものでしかなく、将来的には廃止されることはいうまでもない。
  これから来年4月に向けて銀行を中心とした金融機関は、普通預金口座を持っている顧客に対し、普通預金の口座番号はそのままで決済用預金に切り替えたり、通帳やキャッシュカードも引き続き利用できるサービスや新規顧客の決済用預金の口座新設でしのぎを削るだろうが、顧客の金融機関を選ぶ一番の基準は、「不良債権処理は進んでいるか」であることを忘れてはならない。
2004.08.30
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