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NPO法人で働く有給職員は、増加傾向へ
  独立行政法人労働政策研究・研修機構は8月24日、「NPO法人における能力開発と雇用創出に関する調査」の結果を発表した。この調査結果によれば、NPO法人で働く有給職員は増加の傾向にあり、有給職員を雇用する団体の多くが、今後3年間にさらに有給職員を増やす考えを持っている。しかしながら、一般の労働市場に比べると有給の非正規職員や出向職員に依存している割合が高いことは事実であり、NPO法人が「雇用の受け皿」になり得るためには、正規社員の増加が条件になりそうだ。
●  NPO法人の就労の実態
  NPO法人については、No.832「NPO法人、地域の住民活動の受け皿に」でもふれているが、「地域の住民活動の受け皿」としては大変期待されており、自治体などもその役割を重要なものだと認識しているのは事実である。また同時に「雇用の受け皿」としても期待されているが、その就労の実態は明らかではなかった。今回の調査結果により、雇用者の中では、非正規職員・出向職員の比率が6割を超え、団体を支える中心的労働力になっていることがわかった。またNPO法人は、1団体あたり平均4.9人の有給役職員(実際に労働し報酬を得ている役員を含む)を雇用し、平均11.7人のボランティアが活動に参加しているが、その中でも有償のボランティアとなると、3.3人にとどまった。
●  非正規社員の増加が目立つ
  設立してから調査時点で3年以上経った団体について、現在の活動者数の増減を聞いた結果をみると、「減った」と答えたのは1割未満で、「増えた」と答えた団体が23.2%と全体的に活動者数は増加している。3年前と比べ「増えた」活動者の種類をみると、非正規職員が22.8%で最も多く、次に正規職員が17.4%と多くなっている。また今後の3年間に増やそうと考えている職員については、すでに有給職員を雇用している団体に限ると、「有償ボランティア」と同程度に、さらに有給職員を増加させることを考えているようである。
●  NPO法人は、「雇用の受け皿」になり得るか?
  「NPO法人は、雇用の受け皿になると思いますか」との質問に、半数以上のNPO法人が「雇用の受け皿になり得る」と答えている。しかしながら一般の人に質問したとしたら、「雇用の受け皿になり得る」と答える人は、もっと少ないだろう。なぜならNPOという組織形態に対してきちんと理解できている人がまだまだ少ないからだ。財政基盤の安定と行政との連携を強く求める声もあり、まだまだ不安な要素もあるが、時代の流れも考慮に入れてこの調査結果を見ていくと、近い将来NPO法人が「雇用の受け皿」になる可能性が高いのではないかと思えてくる。
出典:NPO 法人における能力開発と雇用創出に関する調査結果報告
(社会保険労務士 庄司 英尚)
2004.09.06
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