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オフィスへのコンピュータの普及状況
  厚生労働省「平成15年 技術革新と労働に関する実態調査結果の概況」の調査結果を報告する。ここでは、コンピュータ機器の使用状況、コンピュータ機器の導入等による労働面への影響、そしてその対策について触れる。
●  インターネットまたはLAN接続が一般的
  コンピュータを使用している事業所の割合は96.3%となっており、使用している機器の種類(複数回答)をみると、「デスクトップ・ノート型パソコン」は93.1%の事業所で使用されている。
  コンピュータを使用している事業所のうち、「インターネットに接続されている」のは66.0%、「職場内や事業所内のコンピュータとネットワーク化されている」のは57.8%となっており、いずれも過半数である。
  コンピュータ機器の設置台数は、「2〜3人に1台設置している」とする事業所の割合が33.0%と最も多く、次いで「1人に1台以上設置している」とする事業所の割合が30.0%となっている。事業所規模別にみると、10〜29人規模で「2〜3人に1台設置している」とする事業所の割合が最も多くなっている。1,000人以上規模では、76.7%の事業所で「1人に1台以上設置している」としている。
  コンピュータ機器を使用する仕事への適応度(労働者調査)をみると、「充分適応できている」とする労働者の割合は22.8%、「ある程度適応できている」は64.5%であるが、「適応できていない」(「あまり適応できていない」と「まったく適応できていない」)も約10%いる。
  1日あたりの平均VDT作業時間をみると、「1時間未満」17.7%、「1時間以上2時間未満」19.7%、「2時間以上4時間未満」25.1%、「4時間以上6時間未満」16.9%、「6時間以上」20.6%となっている。
●  VDT健康対策は不十分
  コンピュータの使用にともなう、過去5年間の労働者の衛生面での問題をみると、「目の疲れを訴える者が増えた」とする事業所の割合は26.8%、「肩のこり等の身体的な疲労を訴える者が増えた」は19.4%などとなっている。
  事務室、売場等の一角においてVDT作業環境対策を実施している事業所は99.5%であり、「照明、採光対策」が69.4%と最も多く、次いで「換気対策」の67.2%、「温度・湿度に関する対策」の62.8%となっている。
  一方、VDT作業時間管理対策を行っている事業所は11.1%にとどまる。「VDT作業の途中に他の作業を組み込んだり、他の作業とのローテーションを実施している」が53.5%と最も多く、次いで「1連続作業時間と次の作業時間との間に10〜15分程度の作業休止時間を設けている」の43.4%、「VDT作業時間中に1〜2分程度の小休止を設けている」の23.5%が多くなっている。VDT作業時間管理対策を行っていない事業所の割合は88.4%となっており、これを行わない理由(複数回答)別にみると、「作業者個人の裁量に任せているから」の60.9%が最も多い。
  オフィスでパソコン、VDT作業がすっかり定着したにもかかわらず、健康面への対策はまだまだ不十分のようである。
出典:厚生労働省「平成15年 技術革新と労働に関する実態調査結果の概況」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.09.06
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