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学卒者初任給の現状
●  引き続き初任給の凍結が続く
  予断を許さない経済状況を反映して、初任給を凍結している企業が多いが、日本経団連がその実態を調査した。
  まず初任給を凍結していると回答した企業は、88.3%と大部分である。なお、前年調査では91.4%であり、3年連続で8割以上の企業が凍結している。
  凍結企業は1993年までは一桁のパーセンテージだったが、その後急増し1999年に50%を超え、2002年からは80%を超えている。
  自社の初任給水準について、企業自身の評価は「ほぼ妥当」とするのが82.8%と大部分である。その中では500人未満規模の企業は14.7%が「世間相場と比べてやや低い」と評価している。
  では、初任給の水準であるが、事務系では、大学院卒で222,448円、大学卒で203,557円、短大卒で168,649円、高校卒で157,938円となっており、相変わらず学歴での初任給格差が歴然と存在している。なお事務系と技術系の初任給格差はほとんど存在せず、1,000円以内の格差でしかない。
●  初任給は企業規模と正比例しない
  業種別の初任給格差について大学卒を例に見ると、最低は「金融・保険業」で179,625円、最高は「新聞・出版・印刷」の219,452円であり、あまり差はない。
  むしろ、企業規模別の格差が大きい。大学院卒事務系と大学卒事務系においては、300〜499人規模企業が最も初任給が高く、平均値より1万円近く高くなっている。また短大卒事務系、高校卒事務系では100人未満規模企業が最も高くなっている。総じて企業規模では500〜3,000名規模が最も初任給が低いという結果が出ている。
  一方で、2004年の初任給を引き上げたと回答した企業は8.8%である。
  このように初任給の凍結が続いているものの、2004年の初任給を引き上げたと回答した企業は8.8%あり、前年より増えている。また初任給から格差をつけようとする企業は導入中および検討中を合計して5.1%とまだまだ少数であるが、初任給に関して新しい動きも出ている。
【表 初任給凍結企業の割合】
【表 初任給凍結企業の割合】
出典:日本経団連「04年3月新規学卒者決定初任給調査」
(可児俊信、CFP®、DCアドバイザー、米国税理士)
2004.09.27
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