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都市と地方の二極分化が際立った都道府県基準地価
〜平成16年度都道府県地価調査より〜
●  全体では、13年連続の下落に
  9月21日、国土交通省は、平成16年都道府県地価調査を発表した。
  これによると、当調査に基づく地価(以下、基準地価)は、全国平均で、商業地が▲6.5%また住宅地が▲4.6%と、ともに13年連続の下落となった。
●  都心8区ではついに上昇へ、大都市圏は明るい兆し
  全国平均で見ると地価は引き続き下落しているものの、東京都区部では、上昇や横ばいの地点が増加し、ほぼ横ばいの地点が広がっている。
  近年、東京の丸の内や青山といったもともとブランド力の大きい商業地や、大規模再開発地域などで地価が上昇に転じ始めてはいたが、住宅地も含め、こうした傾向が、「点から面に」広がりを見せつつあると考えられる。実際、住宅の「都心回帰」志向とこれを背景とした活発なマンションブームに後押しされ、都心8区(千代田区、港区、中央区、文京区、台東区、豊島区、新宿区、渋谷区)の住宅地では、平均で17年ぶりに上昇に転じている。
  また、東京都心部だけでなく、東京多摩地域、埼玉県・千葉県の東京近接地域、川崎市・横浜市でも上昇や横ばいの地点が現れ、あるいは増加する傾向がみられた。また、大阪圏、名古屋圏でも上昇や横ばいの地点が現れ、あるいは増加している。
●  地方圏では、下げ止まりの兆しなく
  一方、地方圏では、住宅地が7年連続の下落幅拡大となり、商業地は7年ぶりに下落幅が縮小したものの、中心商業地では、郊外型量販店の進出、オフィス需要の減少などもあり、依然として大きく下落している地点が多くなっている。
●  地価は、今後も二極分化の方向か
  バブル崩壊後の地価動向は、不良債権問題とも絡み、実態経済にも暗い影を落としてきただけに、都市部を中心とした近年の地価下げ止まり傾向は、日本経済にとって明るい材料といえよう。
  一方、都市部を中心とした下げ止まり傾向が、いずれ地方にも波及してくるとの見方は少ない。不動産投資信託にみられるような不動産への活発な資金流入や、都市部の再開発といった追い風はあるものの、そもそも、日本ではまもなく人口が減少に転じることが確実視されており、地価全体としては構造的な下落圧力がかかることは想像に難くない。
  したがって、今後も利用価値に応じた「土地の個別化・選別化」傾向が続く、すなわち「地価の二極分化」が進むとみるのが、妥当であろう。
【表 都道府県基準地価の推移(前年比)】
【表 都道府県基準地価の推移(前年比)】
出典:国土交通省「平成16年 都道府県地価調査」
「都道府県地価調査」とは、国土利用計画法施行令第9条に基づき、都道府県知事が毎年1回、各都道府県の基準地(平成16年は全国27,577地点)について不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、これを審査、調整し、一定の基準日(7月1日)における正常価格を公表するもので、国が行う地価公示(毎年1月1日時点)とあわせて一般の土地取引の指標とされる。
2004.09.27
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