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家計の金融行動の実態と意識
●  世帯の貯蓄は前年比減少
  日本銀行の金融広報中央委員会から、平成16年の家計の金融資産状況や金融行動・意識に関する調査の結果が発表になった。
  まず世帯の金融資産の保有額は、金融資産を保有していない世帯を除く平均で1,398万円となっており、前年の1,460万円から4.2%減少している。なお、金融資産を保有していない世帯を含む平均は1,022万円である。金融資産を保有していない世帯の割合は、前年の21.8%から22.9%と1.1ポイント増加している。
  保有している金融資産の内訳は、民間の「預貯金」が41.5%(前年は42.5%)、「保険」が26.4%(同24.4%)、「郵便貯金」が18.6%(同19.9%)、「有価証券」が9.4%(同9.5%)となっている。前年と比較して保険が約2ポイント増加しているのが目立つ。
  取引先金融機関を選択する理由としては、「近所に店舗やATMがある」とする回答が76.7%、「金融機関の経営が健全で信用できる」が28.6%、「店舗網が全国展開されている」が24.6%となっており、利便性が重視されていることが分かる。
●  金融商品選択基準は安全性が第一
  金融商品選択の際に最も重視することは、下図でも分かるように、「元本が保証されている」「取扱金融機関が信用できて安心」などの安全性を重視するのが51.1%、「少額でも出し入れできる」「現金に換えやすい」などの流動性を重視するのが27.7%、「利回りが良い」「値上がりが期待できる」などの収益性を重視するのが13.9%となっている。
  また、保有している金融資産を守るために預貯金残高が1,000万円超の世帯の約7割が何らかのアクションをおこしている。アクションの中身は、「預け入れ先を分散した」が45.6%、「より健全な金融機関に預け替えた」が23.4%、「金融商品の安全性に関して情報を収集した」が17.7%などとなっており(複数回答)、金融機関間での金融資産の移動がかなり行われたことがうかがわれる。なお、今後についても82.3%の世帯が何らかのアクションをおこしたいと回答している。
  一方、取引している金融機関の経営内容については、「確認したことがある」が8.4%、「確認したいが方法がわからない」が32.7%、「確認したいが情報が十分ではない」が22.1%、「確認しようとは思わない」が34.7%であり、半数以上の世帯が確認したいが確認できていないのが現状である。経営内容の確認の有無にかかわらず、「経営破綻する不安はないと思う」との回答が65.1%である一方、「破綻もありうるので不安に思う」が23.3%、「民間金融機関とは取引が無い」が8.5%となっており、破綻不安をかかえている世帯は2割強にとどまる。金融機関の選別は、一段落したといえるのではないか。
【図表1 金融商品選択の際に重視すること】
【図表1 金融商品選択の際に重視すること】
出典:金融広報中央委員会「平成16年 家計の金融資産に関する世論調査」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.10.18
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