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「うまくいっているが、一部手直しが必要」が約45%――業績評価制度に関する調査結果から
  厚生労働省は9月30日に「平成16年 就労条件総合調査」の結果を発表した。この調査結果によると、業績評価制度がある企業にどのように評価しているかをたずねたところ、「うまくいっているが、一部手直しが必要」が45.3%で最も多かった。多くの企業が業績評価制度については悩みをかかえており、また他社状況を気にしていると予想されるので、この調査結果は何らかの参考になるのではないだろうか。
●  現状の業績評価制度は、手直しが必要
  今日では年功序列制も崩壊し、「成果主義」という言葉があちこちで聞かれるようになった。しかし「成果主義」を導入した各企業は、実際の運用と、それに伴う社員のモチベーションの低下に頭を悩ませているようだ。調査結果によると定額制の適用労働者がいる企業のうち、個人業績を賃金(賞与を含む)に反映する企業数割合は、「管理職」で48.2%、「管理職以外」では50.5%となっている。個人業績を賃金に反映させる企業のうち、業績評価制度がある企業について、業績評価制度をどのように評価しているかをみると、「うまくいっているが、一部手直しが必要」45.3%、「改善すべき点がかなりある」30.4%、「うまくいっている」とする企業数割合が15.9%となっている。
●  業績評価制度は、部門間の評価基準の調整が難しい
  個人業績を賃金に反映させる企業で、業績評価制度がある企業について、業績評価制度の評価側の課題(3つまでの複数回答)をみると、「部門間の評価基準の調整が難しい」54.5%、「評価者の訓練が充分にできていない」50.5%、「格差がつけにくく中位の評価が多くなる」36.3%、「評価に手間や時間がかかる」24.5%、「仕事がチームワークによるため、個人の評価がしづらい」19.0%となっている。評価によって生じる問題点については、「評価結果に対する本人の納得が得られない」と答えた企業が最も多い。評価に不満をもっている人は、自分のことを実力以上に過大評価しがちであるが、このような場合の根本的な原因は上司と部下との信頼関係が築けていないからであることが多い。信頼している上司からであれば厳しい評価を受けたとしても次回良い評価をもらえるように頑張ろうとプラス思考で考えるのではないだろうか。
●  業績評価制度についての課題は、マニュアル作成などで対処
  業績評価制度がある企業のうち業績評価についての課題・問題点に対する対処法(複数回答)をみると、「評価のためのマニュアルを作成している」46.6%、「低い評価を受けている労働者に対する対策を講じている」41.3%、「業績評価制度に基づく評価結果を本人に通知している」35.0%、「能力や勤務態度などの評価のウエイトを大きくしている」33.7%などとなっている。
  そもそも評価の目的を改めてじっくり考えてみる必要があるのではないだろうか。評価すること自体が目的ではなく、評価の結果を活用し、ひいては人材を育成し、業績を向上させることこそが本来の目的であるということを忘れてはならない。
出典:「平成16年 就労条件総合調査結果の概況」
(社会保険労務士 庄司 英尚)
2004.10.18
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