>  今週のトピックス >  No.913
働かない若者「ニート」52万人に
●  昨年より4万人増え、社会問題化
  厚生労働省は先月、最近の雇用情勢を分析した2004年版の労働経済白書を発表した。   15〜34歳で学校卒業後、職探しも通学もせず未婚という「ニート(Not in Education, Employment or Trainingの略)」と呼ばれる若者が2003年は52万人で、前年より4万人増え、社会問題化していることがわかった。短期のアルバイトなどを繰り返すフリーターも8万人増の217万人となっており、白書では「憂慮すべき問題」と位置づけている。
  総務省の労働力調査では、失業者に含まれない「非労働力人口」に該当するため注目されにくかったが、このところ該当者が急増したため、労働経済白書で今回初めて言及した。文部科学省の調査では、大卒者の2割前後と高卒者のほぼ1割が毎年ニートになっているとしている。ニートの形態はさまざまで、働く意思を有しているが「やりたいことが見つからない」「就職できなかった」「目標に向かって準備中」という3タイプと「単に働く意思をもっていない」タイプがこれに該当する。
●  政府、ニート対策急ぐ
  ニートの増加について白書では、景気への影響だけでなく、「経済社会の維持、発展の観点からも憂慮すべき問題」と受け止め、「働く自信や意欲の付与が必要」としている。このほか若年層の就職能力に関する実態調査も紹介。若年層が修得すれば企業に採用される可能性が高まる能力として「コミュニケーション能力」「基礎学力」「資格取得」「責任感」の4点を挙げた。
  厚労省はこれまで働く意欲はあるが仕事に就けない若者のために対策を講じてきたが、今後は就労意欲自体がない若者たち向けに施策を練る必要があると危機感を強めている。来年度から合宿型や通い型の就職基礎能力講座を実施するなど、ニートやフリーター対策を強化する方針。また、政府は若者無業者対策を話し合う「若者自立・挑戦戦略会議」を開き、2005年度に中学校で五日間以上の職場体験を行ったり、働く意欲を喚起させるための合宿形式の「若者自立塾」を創設したりすることを決めた。
  このほか労働経済白書では、短時間勤務制やフレックスタイム制など企業内の労働時間が柔軟になればなるほど、介護休業制度や育児で離職した人の再雇用制度なども充実していると指摘。経常利益が3年前より増加した企業は、減益となった企業に比べて、成果を賃金に反映する制度や、年俸制などを導入している割合がそれぞれ5%前後高かったとしている。
2004.10.18
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