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住宅ローンが、金融機関の頼みの綱!?
●  住宅建設状況
  住宅建設の動向を利用関係別に見ていくと、マンションの着工が堅調に推移しているなか、さらに持家の着工がこのところ増加し、戸建分譲住宅の着工も前年を上回る水準で推移している。このことから、マンション・一戸建てを合わせた住宅の着工動向は、堅調に上昇傾向にある。
  この背景としては、住宅ローン減税の来年度からの縮小。また景気回復、金利先高感などにより、今後しばらくは住宅の購入時であると感じる者の割合が増加していることが挙げられる。
●  堅調な住宅ローン
  住宅建設の順調な推移に後押しされる格好で、金融機関の住宅ローン融資が増加傾向にある。最近の金融機関の貸出動向をみると、貸出の減少幅が縮小しており、特殊要因である貸出債権流動化や為替変動、貸出債権償却要因を除いたベースで見ると、都銀などでは前年水準を下回ったままである。
  しかし、地方銀行では貸出状況は2002年半ばより増加に反転している。貸出の内訳(特殊要因調整前)を見ると、都銀などでは法人向けの貸出が大きく減少するなか、住宅ローンは緩やかに増加している。また地方銀行では法人向けの貸出の減少を住宅ローンの増加が下支えする形となっている。
  さらに地域別に見ると、法人向けの貸出が伸び悩んでいる地域ほど、住宅ローンの伸びが高い傾向がある。つまり、法人向け貸出の不調を住宅ローンで巻き返している格好だ。
  これは、住宅着工が全国的に堅調に推移していることを背景に、住宅ローンに対し積極的に取り組む金融機関の姿勢を映しているものと思われる。このため、当面は法人向け貸出が伸び悩むなかで、住宅ローンの伸びが貸出全体を下支えするものと見込まれる。
●  金融機関の知恵の見せ所
  現在、住宅ローン商品は多種多様である。まず最近よく目にするのが、東京スター銀行の「スターワン住宅ローン」だ。これは、預金連動型住宅ローンで借入額から普通預金を差し引いた残額に対して金利を支払う仕組みになっている。従来の繰り上げ返済に比べて手元にお金が残る分、住宅購入者にとっては利用しやすいといえる。また条件が整えば、ソニー銀行や新生銀行のように保証料を必要としない住宅ローンも出てきている。
  さらに今後の金利先高感を考慮して、金利設定のバリエーションが増えている。特に最近では、固定金利型に特化商品を打ち出している金融機関が多い。
●  銀行を評価する軸
  わたし自身、住宅ローンに関して銀行を評価する軸を4つ設けている。
  1つ目は、金利。これは当然低いにこしたことはない。
  2つ目は、繰り上げ返済手数料。多くの方が30〜35年でローンを組んでいることや最近ではボーナス返済を設けない場合もあることから、繰り上げ返済手数料は要チェックポイントである。
  3つ目は、保証料の有無である。最近では保証料なしという商品が出てきている。
  そして最後の4つ目は、独自性・利便性。例えば、みずほ銀行のように複数の金利タイプを組み合わせる「ミックス返済」や、金利選択が途中で変更できるタイプなどが望ましい。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2004.10.18
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