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平成14年の相続税の課税実態
●  相続税課税価格は前年比減少
  2002年に発生した相続に関する相続税の申告状況が国税庁から報告された。2002年の死亡者数は約98万人で前年(2001年)に比べ1万人以上も増加しているが、相続税の申告対象となった被相続人は44,370人と前年の46,012人より3.6%減少している。その結果、課税割合(死亡者数に対する申告被相続人の割合)は、4.5%となり、1995年の5.5%から低下し続けている。
  一方、相続税の納税者である相続人数は約11.5万人であり、申告被相続人1人に対し、相続人は2.6人となる。
  相続税課税価格は総額約10.6兆円で、被相続人1人当たり約2.4億円となる。申告税額は総額約1.2兆円で、前年比で約13%の大幅減である。被相続人1人当たり約2,891万円となる。
  課税価格などが減少しているのは、不動産や株価等の下落が原因と思われる。路線価の基礎となる標準宅地の平均額(1m2当たり)は、1994年の約25.6万円から2002年は約12.9万円と半減しており、課税価格が減少につながっている。
●  相続税申告漏れは8割強
  2003年7月から2004年6月の間に行われた相続税の調査対象は1万2,791件だが、このうち申告漏れがみつかった件数は1万1,210件。申告漏れの割合は実に87.6%にも上る。調査のうち海外資産関連は255件あった。
  申告漏れの財産の約4割は現金・預貯金が占める。申告漏れの様態としては、現金や公社債を自宅等に隠すケース、家族名義の預貯金を申告から除外するケース、海外資産を申告から除外するケースなどが見受けられる。
  相続税の課税価格は前年比で減少しているが、申告漏れの課税価格は約3,860億円で前年比約3%増となっている。また申告漏れ税額は約840億円となる。申告漏れ1件当たりの税額は約749万円に上る。
【図表1 標準宅地額と相続税課税割合の推移】
【図表1 標準宅地額と相続税課税割合の推移】
【図表2 相続財産額の内訳】
【図表2 相続財産額の内訳】
出典:国税庁ホームページ
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.10.25
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