>  今週のトピックス >  No.923
コース別雇用管理の実態
●  コースは採用時に本人が選択して決定
  雇用均等法の施行やその改正法、さらには従業員の就労に対する意識の多様化を受け、企業ではコース別雇用管理制度の導入が進んでいる。厚生労働省は、すでにコース別雇用管理を実施している企業236社に対してその実態の聞き取り調査を行った。
  企業に設けられているコースを形態別に見ると、総合職は全社に設けられているものの、一般職を設けている企業は88.6%、専門職を設けている企業は23.7%、現業職を設けている企業は22.5%、中間職を設けている企業は19.5%、準総合職を設けている企業は7.2%であった
  また、コースの導入状況は「総合職+一般職」が44.9%、「総合職+一般職+準総合職、中間職」が8.9%、「総合職+一般職+専門職、現業職」が26.3%などとなっている。コース決定の時期は「募集・採用時に決定する」とする企業が92.8%と圧倒的に多く、決定方法は「本人にコースを選択させている」企業が77.2%、「本人の意向を踏まえ会社がコースを決めている」企業が12.3%、「会社が第一義的にコースを決めている」とする企業が10.5%であった。なお、転勤の有無をコース区分の要件としている企業は82.2%となっている。
●  コース転換には上司の推薦が必要
  コース転換制度を「導入している」企業は76.7%である。そのうち、総合職と一般職間のコース転換制度を見ると「総合職、一般職の双方への転換制度がある」企業は54.4%、「一般職から総合職への転換のみ」企業は28.7%、「総合職、一般職間の転換制度がない」企業は、14.6%となっている。
  一般職から総合職への転換制度において、転換時に必要な要件がある企業は88.8%で、このうち「上司の推薦」が必要な企業が75.6%、「客観的条件」および「試験」が必要な企業はいずれも66.9%となっている。
  これらの要件の組み合わせを見ると「客観的条件と上司の推薦と試験」を組み合わせた企業が37.8%と最も多く、「上司の推薦のみ」の企業が11.0%、「客観的条件のみ」、「試験のみ」がいずれも3.9%となっている。
  この調査は、コース別管理を実施している企業のみを対象としたものである。今後は、コース別雇用管理の導入が、日本の企業全体でどの程度進んでいるのか、その調査結果が待たれる。
コース形態の分類
総合職
・・・
基幹的業務または企画立案、対外折衝など総合的な判断を要する業務に従事し、転居を伴う転勤がある
一般職
・・・
主に定型的業務に従事し、転居を伴う転勤がない
準総合職
・・・
総合職に準ずる業務に従事し、一定地域エリア内のみの転勤がある
中間職
・・・
総合職に準ずる業務に従事するが、転居を伴う転勤がない
専門職
・・・
特殊な分野の業務において専門的業務に従事する
現業職
・・・
技能分野の業務に従事する
参考:厚生労働省「コース別雇用管理制度の実施状況と指導状況(2004年7月)」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.11.08
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