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個人消費や企業業績好調、上期における国の税収5.1%増
●  国の一般会計税収が前年度実績を上回るペース
  財務省が発表した2004年度上期(4−9月)の一般会計税収の累計は、2003年の同じ時期に比べ、5.1%の増収となり、これは前年度実績を上回るペースである。主な要因として、所得税が底堅く、個人消費や企業業績の好調を背景に、消費税や法人税収が伸びていることが挙げられる。
  財務省は、現時点での今年度税収を前年度比3.5%減の41兆7,400億円と見込んでいるが、9月末までの累計税収が3兆3,555億円は4年ぶりの増収となっている。
  増収の内訳を見ると、消費税は前年実績を1割強、法人税が5割弱上回っている。所得税は配当収入拡大で微増を確保している。また今夏の猛暑で、ビールや発泡酒の出荷が大幅に伸び、酒税も税収増に寄与している。
  しかし、法人税の大半を占める3月期決算企業の納税は下期以降であり、現在のペースで増収を確保できるかどうかは不透明でもある。
  そこで、来年3月期決算で税収増の可能性が高いトヨタなどの昨年度納税実績を見ておこう。
●  2003年度の大企業申告所得、トヨタが5年連続で首位
  国税庁は、2003年度中に決算期を迎えた資本金30億円以上の大企業(保険会社を含む)の申告所得状況をまとめた。対象企業3,322社の申告所得総額は、前年度比18.7%増の17兆1,457億円で、3年ぶりに増加に転じた。
  上位50社ランキングでは、トヨタ自動車が申告所得7,933億円(前年度比19.8%減)で5年連続のトップとなった。2位はNTTドコモで、関西、東海、九州、東北のグループ会社4社もランクインした。携帯電話関連ではボーダフォン(13位)、KDDI(16位)が上位に食い込んだ。
  経営改革を進める日産自動車は、13年ぶりのランクイン。グループ会社の損益をまとめて納税額を決める連結納税を導入した企業では、野村ホールディングス(12位)が初めて50位内に入った。
●  景気回復は明暗分かれる
  このように見てみると、景気が回復してきたように思うが、実際は明暗がはっきりしてきているといった感じだ。堅実にもうかってきている企業と、明らかに変革が必要な企業にはっきりと分かれる。そういう意味では、現在の経済環境・消費動向が今後も続くと考えて、このような状況でも利益が上がるビジネスを作り上げる必要があるのかもしれない。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2004.11.08
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