>  今週のトピックス >  No.927
経営理念、社是・社訓の現状
●  経営理念等は近年、制定・変更が盛ん
  企業は従来から経営理念、社是・社訓を整えてきた。社是・社訓というと、一時は古い経営の残滓(ざんし)としてみられたこともあったが、今では企業のミッションを共有する手段として見直されつつある。
  そこで、(財)社会経済生産性本部は、早稲田大学企業倫理研究所と共同で経営理念、社是・社訓の現状を調査し、その調査結果を6月に発表した。
  まず、それらが定められた時期であるが、1970年代以前が35.3%、80年代が20.9%、90年代が30.4%、それ以降が13.4%である。
  また1998年以降に経営理念などが変更された企業は全体の26.4%と、ここ6年間で4分の1の企業において見直しが行われていることもあり、90年代以降に半数近くが経営理念などを新設または変更したことになる。
  経営理念などの制定者は、創業者が35.1%、最近の経営者が33.1%などとなっている。
●  経営理念は社会との共生
  経営理念などに含まれる用語のうち、多く含まれているものは「社会との共生(58.5%)」、「顧客志向(50.9%)」、「挑戦(48.9%)」、「従業員の尊重(43.0%)」、「先駆者精神・イノベーション(42.6%)」、「サービス精神(31.6%)」、「従業員の団結・和(30.8%)」、「技術の優秀性(28.1%)」、「正直(27.9%)」、「個人の尊重(26.5%)」、「地球環境への配慮(25.3%)」、「専門家としての誇り(25.3%)」、「勤勉(24.4%)」、「株主(23.6%)」などと続いている。顧客志向・サービス精神といった消費者・販売先を意識したもの、また変革の時代を反映して挑戦や先駆者精神といった言葉が並ぶ。
  経営理念などを徹底するための手段として実施していることは、「社内での掲示(62.1%)」、「社内誌・リーフレットの配布(49.3%)」、「カード・手帳への印刷(46.0%)」、「日常業務での教育(37.9%)」、「マルチメディアでの活用(31.8%)」、「訓示(27.0%)」などとなっている。
【図表 経営上の関心事の順位】
順位
経営上の関心事
得点
1
顧客志向の強化
499
2
財務体質の強化
477
3
人材育成
388
4
スピード経営
385
5
成果主義の人事制度など
184
6
製品イノベーション
181
7
企業倫理等
144
8
株主資本利益率
130
9
リストラクチュアリング
126
10
企業イメージ向上
106
(注)経営上の関心事を順位付けし、1位は3点、2位は2点、3位は1点とし、合計したものを得点とした。
参考:財団法人社会経済生産性本部「ミッション・社是・社訓の活用についての調査(2004年6月)」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.11.15
前のページにもどる
ページトップへ