>  今週のトピックス >  No.928
税金の無駄・不正、昨年度は過去2番目の430億円
●  厚生労働省は15年連続のワースト1位
  会計検査院は9日、中央省庁や政府関係機関を対象とした2003年度の決算検査報告書をまとめた。税金の無駄遣いや不正支出と指摘されたのは計305件、430億1,218万円に上り、金額ベースでは昨年より約30億円多かった。報告書への掲載基準が現行と同じ様式になった1978年度以降では、1980年度に次ぐ過去2番目の規模である。ちなみに、1980年度は約510億円だった。
  会計検査院は「1980年度は、重点検査した住宅金融公庫だけで指摘額が200億円以上に膨らむという特殊要因があったため、実質的には今回が過去最高額といえる」とコメントした。
  検査は、全国の対象機関約3万4,000カ所のうち約2,000カ所を抽出し、今年9月まで実施。省庁別では、厚生労働省が約159億円と15年連続のワースト1位で、農林水産省、総務省が続いた。
  内訳は無駄遣いが約367億円、税金や社会保険料の徴収漏れなどが約63億円。そのうち約126億円は法令違反などと判断された。
●  警察の裏金問題
  警察の裏金問題に絡み、12都道府県警の37部署を抽出して2003年度の捜査費を調べた結果、捜査協力者への謝礼など領収書のない約1,200件、約3,900万円分の支出が判明した。厚生労働省広島労働局の不正経理事件では、同省の発表分のほかに約4,000万円の新たな裏金の存在が判明した。
●  会計検査院の役割
  会計検査院は、内閣から独立した憲法上の機関として、国や法律で定められた機関の会計を検査し、会計経理が正しく行われるように監督する役割を持つ。そして、明治13(1880)年に創設されて以来、地位などに変遷はあるが、一貫して国の財政監督機関としてその職責を担ってきた。
  日本国憲法第90条によると「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。また会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める」とある。
  ちなみに、会計検査院法第1条には「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する」とある。
●  より一層の効率化と責任感
  税金や社会保険料の徴収漏れ、警察の裏金問題、これらすべては、われわれ一般庶民に増税という形(社会保険料の値上げ)でその処理をさせられることになる。
  これだけ年金の問題や裏金問題が噴出しているにもかかわらず、過去2番目という「税金の無駄遣いや不正支出」であるとは驚きである。
  今までが発見されていなかっただけなのか、それとも税金の無駄遣いが悪化しているのか真意は定かではないが、より一層の効率化と責任感が必要と痛切に感じる。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2004.11.15
前のページにもどる
ページトップへ