>  今週のトピックス >  No.929
新規開業企業、1企業あたり5.1人の雇用を創出
  国民生活金融公庫総合研究所は、新規開業企業をより効果的に支援することを目的として、パネル調査(調査対象を固定し、同一の質問を定期的に尋ねる方法)を実施。その結果を1日に発表した。同公庫の融資先で、2001年に開業した2,181社(不動産賃貸業を除く)を対象に、廃業した企業の特徴、従業員数の動向などを調べた。従業員数については、1企業当たり開業時の4.0人から2003年末には5.1人へと1.1人増加している。廃業する企業もあるので、このような結果になったことは新規開業企業が健闘しているといえる。
●  業種別では、飲食店と小売業の廃業割合が高い
  2003年末時点で存続・廃業状況をみると、存続企業が87.4%、廃業企業が8.4%となっている。開業時の企業形態は、個人企業が78.0%、法人企業が22.0%となっており、法人企業の平均資本金は503万円である。また廃業割合を業種別にみると、飲食店(12.3%)が最も高く、次いで小売業(10.8%)となっている。
  廃業企業の割合をフランチャイズ加盟(以下、FC)しているか否かでも調査している。FCに加盟していない企業の廃業割合が7.8%であるのに対して、加盟企業は14.4%と高い。FCに加盟すれば、廃業のリスクが下がるようなイメージもあるが、この結果だけを見ると、まったく逆になっており興味深いところである。
  FCに加盟すると、経営者の個性も出しにくく、最初の加盟費用が高額なところもあるので、うまくいかないときは、あっという間に資金を使い果たしてしまうことになるのだろう。また当然の結果ともいえるが、廃業企業のうち経験年数5年以下が47.5%と約半数を占め、現在の事業に関する経験が少ない場合に廃業割合が高くなっている。少なくとも、その事業での経験がまったくないまま開業することは、あまり望ましくないといえる。
●  開業後、従業者数を増加させた企業割合は41.4%
  開業時から2003年末までの従業者数の増減状況を見ると、従業員を増加させた企業は41.4%、増減なしの企業は30.1%、減少させた企業は16.2%となっている。
  開業時と2003年末の2時点で従業員数が確認できた企業1,386社について、従業員数の平均を見ると、1企業当たり開業時の4.0人から2003年末には5.1人へと1.1人増加している。
  総務省の「労働力調査」によると2001年から2003年にかけて就業者数は減少している。このような中で、開業後もずっと雇用を創出している新規開業企業の健闘振りは注目に値する。
  雇用創出の担い手として、新規開業企業に期待が高まるのはある程度予測できる。このような調査を実行することは、正確に実態を把握するためには不可欠である。国や地方自治体などさまざまな機関がこれらの結果を今後に活かして、新規開業企業を支援していく必要がありそうである。
参考:国民生活金融公庫研究所「新規開業企業を対象とするパネル調査」
(庄司 英尚、社会保険労務士)
2004.11.15
前のページにもどる
ページトップへ