>  今週のトピックス >  No.931
企業が新卒学生に求める力
●  技術系学生には満遍ない能力を求める
  企業が新卒学生に何を求め、どのように評価しているか、また採用の可否をどの基準で判断しているかを日本経団連が調査した。
  まず新卒学生の採用で求める人材には「志と心(将来の目標、礼儀、積極性)」、「行動力(コミュニケーション力、努力)」、「知力(論理思考力、知識・語学力、独創性)」のうち、何を重視するかを尋ねた。
  事務系人材を採用する場合、「志と心」「行動力」に関する力を非常に重視し、「知力」はあまり重視されない。すなわち、企業は、さまざまな情報をもとに独創性のある解決策を考え、他人の意見も取り入れて方向性を定めていく力を求めているといえる。知力は、入社後に好奇心や向学心次第で高めていくことが可能であるため、比重が軽いと思われる。
  技術系人材の場合は、「志と心」「行動力」「知力」のいずれも高いレベルでのバランスが求められる。すなわち、学生時代に身につけた知識をベースに、幅広い好奇心、向学心、探究心を持ち、さまざまな専門分野の人材と共同で成果を作り上げていく能力が求められているといえる。
●  コミュニケーション力、独創性の不足
  この3要素の視点から学生に対する評価を見ると、事務系人材には「志と心」「行動力」についてはある程度評価しているものの、「知力」に対する評価は低い。一方、技術系人材については3要素とも高く評価している。
  また企業は、事務系・技術系学生とも、相手の意見や質問を踏まえて自分の意見を分かりやすく述べる「分かりやすい自己主張」の力が物足りないと評価している。「積極性」「独創性」に対する評価も低い。
  企業が望む人材を採用する手段には、職種別採用*1と自由応募制*2がある。職種別採用のメリットには「目的意識の明確な学生を採用」できるとする回答が最も多く、自由応募制には「多様な人材を採用」できるメリットがあるという回答が最も多かった。
  企業は、事務系・技術系とも「コミュニケーション力」と「独創性」を求めている。技術系にはさらに「知力」も求めるが、実際の学生は「コミュニケーション力」「独創性」も不足しているようである。
*1 経理財務、法務、総務など入社後に携わる業務別に応募を受け付け、選考を行う採用方法。
*2 大学推薦によらない採用方法。
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.11.22
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