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法人税17億円脱税
●  法人税17億円脱税、Y社社長ら逮捕
  京都市の消費者金融会社Y社が3年間で約58億円の所得を隠し、法人税約17億円を脱税していたとして、大阪地検特捜部は、同社社長R氏(60)と幹部社員H氏(60)の両容疑者を法人税法違反容疑で逮捕した。
  大阪地検特捜部は、大阪国税局と合同で京都市の社長宅など10カ所を家宅捜索した。関係先への捜索は今年4月に続いて2度目となる。調べによると、Y社は2002年5月期までの3年間に、所得の一部しか申告しないいわゆる「つまみ申告」と呼ばれる手口で、所得のおよそ9割に当たる約58億円を隠ぺいし、法人税17億円を免れた疑いだ。脱税した金は、新たな貸し付け「S」の原資にしていたという。
  民間信用調査会社などによると、Y社は1983年に設立。短時間の審査を売り物に「S」などの屋号で消費者金融を展開し、京都市のほか北海道や九州にも営業拠点がある。
●  脱税をした場合のペナルティは?
  脱税は犯罪である。税務調査や国税の査察で発覚すれば、罰金を含む刑罰が待っている。また当然ながら追徴税やペナルティ税が多額に課される。さらにテレビ・新聞というメディア報道による社会的制裁という側面も存在する。
  脱税により発覚した追加納税額を納めるのは当然であるが、まず発生するペナルティ税が延滞税(住民税では、延滞金)で、税務署が罰則利息として徴収するものだ。当初の申告期限から2カ間は約4.2%で、それ以降、追加の納税額をすべて支払い終わるまで14.6%の利息が付いてくる。
  次に脱税の悪質さ加減に応じて加算税がかかる。脱税事件となる場合は、通常「重加算税」が課されることになる。重加算税とは、税金計算の基礎となる事実を仮装(偽ること)、または隠ぺい(意図的に隠すこと)して税金をごまかした場合に課せられるペナルティ税で、追加納税額の35%または40%の額を課せられる。
  さらには今回のケースのように悪質で巨額脱税になると、法人税法違反または所得税法違反になる。つまり脱税罪で刑事罰を受けることになるのだ。刑事罰というのは、実刑判決と罰金。参考までに、所得税を脱税した場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科されることになっている。罰金は通常、脱税額のおよそ20%程度が相場になっているようだ。
  脱税事件というのは、マスコミの格好のネタになる。従って今回のケースを見るまでもなく、各マスコミがこぞって取り上げることになり、それによるダメージはかなり大きいものになるだろう。テレビや新聞で報道されることによる社会的制裁が、もしかしたら最も過酷なのかもしれない。
  ある試算によると、3年前に発覚した所得10億円の脱税の場合、約9億6,800万円の納税が発生するそうである。脱税ではなく、節税に力を入れることが大事である。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2004.11.29
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