>  今週のトピックス >  No.938
税関で「模倣品」徹底検査
●  急増する模倣品輸入に、財務省が取り締まり強化
  財務省は知的財産権を侵害する商品の輸入防止策を強化する。平成17年度をめどに知的財産権侵害の疑いのある輸入品に対して、知的財産権保有者が税関で詳細に検査することを認める。具体的にはパソコンなどの家電製品の分解や医薬品の成分分析などで、これにより知的財産権侵害の認定手続きを迅速化したい考えだ。
  税関によると、特にアジアから高度な技術を使った精巧な模倣品の輸入が急増しており、今年の模倣品などの輸入差し止め実績は1〜6月だけで4,405件に上る。通年では平成12年(1,589件)の5倍以上で過去最高を更新する勢いだ。
●  知的財産戦略本部が提言
  今回の輸入防止策強化は、政府の知的財産戦略本部が輸入品の分解など、詳細な検査が必要であると提言したのを受け、財務省の諮問機関である「関税・外国為替等審議会」が新制度を検討することになった。そこで、知的財産権の保有者が税関で家電製品などを分解して電子部品をチェックしたり、医薬品の成分分析を認めることを柱とする答申を年内にまとめる予定だ。
  さらに財務省では、来年の通常国会で関税定率法など関連法の改正を目指す。
  現在、税関ではバックの中を見るなど簡易な検査(チェック)しかできない。今後も続く模倣品の拡大と高度化に対応するために、財務省は輸入品の検査結果を根拠に、輸入品の輸入指し止めに必要な認定の手続き期間を短縮する。
●  知的財産戦略本部とは?
  知的財産基本法が平成15年3月1日に施行され、同基本法第24条に基づき「知的財産の創造、保護および活用に関する施策を集中的かつ計画的に推進」するため、内閣に知的財産戦略本部が設置された。
  知的財産戦略本部は、政府一体となって関係府省と総合調整を行いながら施策の推進を図る中心的役割を果たすもので、内閣総理大臣を本部長、官房長官、科学技術政策担当大臣、文部科学大臣、経済産業大臣を副本部長とし、本部員はその他すべての国務大臣と知的財産政策に優れた識見を有する民間有識者(10名)から構成されている。
●  今後の要望
  ソフト産業などでは模倣品に悩んでいる。優秀な人材を育てるためにも、努力すれば報われる知的財産権が確立されることを早急に望みたい。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2004.11.29
前のページにもどる
ページトップへ