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企業の教育訓練の実態
●  OJTが教育訓練の中心
  企業の教育訓練の実態が厚生労働省の調査で明らかになった。
  教育訓練方法は、「職場内訓練」と呼ばれるOJT(On the Job Training)*1と、「職場外研修」と呼ばれるOFF-JT(Off the Job Training)*2に大別される。
  教育訓練の方法については、「OJTを重視」(「OJT重視」と「OJTを重視に近い」の回答計)する企業が全体の7割(71.2%)を占める。一方で「OFF-JTを重視」する企業が23.0%という結果から、多くの企業でOJTを重視していることが分かる。今後も「OJTを重視」と回答した企業が68.3%と高い。
  平成14年度に従業員に対して計画的なOJTを「実施した」企業は41.6%、「実施しなかった」企業は53.8%で、13年度調査と比較すると実施率が3.2ポイント低下した。業種別では、金融・保険・不動産業が57.6%と高く、運輸・通信業が33.3%と低い実施率になっている。従業員規模別に見ると、従業員が30人未満の企業では、OJTを「実施している」が29.1%、300人以上の企業では73.0%と、従業員が増加するほど実施率が高い。
  一方、OFF-JTを「実施した」企業は48.7%と半数近い。13年度調査と比較すると、11.5ポイント減少している。従業員規模別の実施率は、30人未満の企業が29.1%であるのに対して、300人以上の企業は82.6%である。業種別に見ると、金融・保険・不動産業が69.5%と実施率が高い反面、運輸・通信業(31.3%)、電気・ガス・水道・熱供給業(40.0%)では低くなっている。なおOFF-JT(本社の人事教育部門が管理するもの)費用総額は平均で368.14万円となった。従業員一人当たりのOFF-JTの費用総額は全体平均で2.09万円である。
*1 日常業務において行われる教育訓練のこと。教育訓練に関する計画書作成などを通して教育担当者、対象者、期間、内容などを具体的に定めて段階的・継続的に実施する。
*2 通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練・研修。
●  自己啓発は学校への通学が最多
  企業側の教育訓練と並んで重要なのが自己啓発である。平成15年度内に自己啓発を行った者の割合は35.8%で、前年度調査と比較すると2.6ポイント上昇した。
  年齢階層別では「24歳以下」の実施率が25.0%と最も低いほかは、年齢による大差はみられなかった。
  自己啓発の実施目的は、「現在の仕事に必要な知識・能力を身に付けるため(77.6%)」が最も高く、次いで「将来の仕事やキャリアアップに備えて(37.7%)」、「資格取得のため(32.8%)」と続いている。
  参加者割合が最も高い自己啓発の手段は、「ラジオ・テレビ・専門書・パソコン通信などによる自学・自習」で40.4%。手段別の平均的な実施時間を見ると「専修学校・各種学校」が96.7時間と最も長かった。逆に「社内勉強会・研究会(24.5時間)」、「社外の勉強会・研究会(18.3時間)」といった勉強会は、実施時間がほかと比べて短かった。
  企業によるOJT、OFF-JTの実施格差はかなりはっきりしている。それを補うのが自己啓発と位置付けられる。
参考:厚生労働省「平成15年度能力開発基本調査結果概要」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.12.06
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